LIFEを現場で活かすうえでの課題

今年4月から、CHASEとVISITが「LIFE」として一体運用を開始します。介護報酬上でも、LIFEへのデータ提供やフィードバックの活用を要件とした新加算や新区分が数多く誕生しました。懸念されるのは、現場がただ「振り回される」だけに終わってしまうこと。どのように向き合えばいいのでしょうか。

データ提供のしくみについて改めて確認

LIFEとのデータ連携では、事前に専用のwebサイトから「LIFEの利用申請手続き」を行なうことが必要です。ここで、ID・パスワードが発行されます。その後のしくみについて、改めて整理してみましょう。

科学的介護推進体制加算をはじめ、既存の自立支援・重度化防止にかかる加算を算定する場合、あらかじめ定められた様式でデータ提供を行なうことが要件となります。

データを提供する方法は、以下の2つ。(1)LIFEのwebサイトに直接データを入力して行なう方法、(2)各事業所・施設で使っている介護ソフトに入力したデータをCSVファイル(※)に変換して提供する方法があります。

現場で使い慣れたソフトで、という場合は(2)となります。ただし、CSV連携が可能な仕様となっているかどうかが問題です。この点に関する通知(2月19日「LIFEと介護ソフト間におけるCSV連携の標準仕様について」)も出されていますが、現場で混乱が生じそうなポイントの一つです。早めにソフトのベンダー等に確認しておきたいものです。

現場の適応力を精査することが重要に

注意したいのは、現時点でデータ提供のための様式が明確に定められていなかったり、提供が「任意」のものもあることです。たとえば、多くのサービスでベースとなる「科学的介護推進体制加算」の様式については、「LIFEへの登録項目を示すためのイメージとしての様式」となっています。

とはいえ、「登録項目」を参照する必要があることに変わりはありません。現在使っている介護ソフトの仕様を見直したり、場合によって、現行のソフト使用をやめてweb入力に切り替えるというケースも出てくるでしょう。

このあたりの体制構築には、(事業所・施設の規模にもよりますが)少なからぬ時間を要する可能性もありそうです。事業所・施設としては、現場の適応力を精査したうえで、慎重に算定計画を立てる必要があるでしょう。さもないと、一定期間現場が混乱しケアの質の低下などが生じることになりかねません。

9月末のコロナ特例切れのタイミングに注意

厚労省としても、最初から高い算定率は想定していないかもしれません。しかし、今改定では既存加算の一部が廃止されて基本報酬に組み込まれたりしているほか、9月末には(予定通りならば)「新型コロナ感染症対応のための基本報酬への特例的上乗せ」の期限が切れます。こうした報酬減の流れを考えると、現場の身の丈に合わない拙速な算定体制を図る事業所・施設も出てくる懸念があります。

そうなったときの混乱を見据えれば、厚労省としても「導入時のマネジメントの注意事項」などについて、今後しっかりとした情報提供を行なうことが欠かせません。場合によっては、上記の新型コロナ対応の報酬特例の延長なども考えることが必要でしょう。

一方、事業所・施設、そして運営を取り仕切る法人としても考えておきたいことがあります。それは、現時点で示されている様式を精査したうえで、(実際にLIFE連携に踏み込むか否かは別として)「現場の実務」の中に徐々に組み込んでいくという取り組みです。

日常のケアの中で職員への意識づけを図る

2月22日に厚労省が示した様式例を見ると、これまでも既存の介護ソフトで入力を進めていた項目もあるでしょう。あるいは、OJTなどを通じ、「利用者の生活のどんな部分着目するか」といった助言・指導で、職員に意識させていたものもあるのではないでしょうか。

こうした点を考慮しながら、「データ項目」に関連する部分について、現場職員への意識づけをさらに図る取り組みが求められます。

たとえば、日常的なケアの中で利用者と接したり話をする機会があるとします。その際の生活行為の中で「している・できている範囲」、あるいは、本人との会話で浮かぶ「興味や関心」について、スルーすることなく意識させる習慣を強化していきます。

実務経験が少ない職員の場合、何気なく見逃す・聞き逃すこともあるでしょう。そうした場合でも、振り返りのカンファレンス等で管理者・リーダーから「こんな点に気づかなかったか」と問いかけることで、「利用者のこういう部分に注意しなければ」という気づきを少しずつ高めることにつながります。

こうした「土台」ができてこそ、LIFE連携にスムーズに乗ることができるはず。ただ「加算を取りたいから」と、十分に土台が固まらないまま「データ入力ありき」からスタートしても、かえって従事者のモチベーションは低下しかねません。事業所・施設として整えていきたい道筋の一つといえます。

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