【直撃】ケアマネ協会が介護報酬改定を「概ね良い結果」とみる理由(後編)

新たに適用される単位数など具体像も明らかになった4月の介護報酬改定 − 。居宅介護支援の内容をどうみるか、政府への要請活動なども行ってきた日本介護支援専門員協会の柴口里則会長に聞いた。【青木太志】

※この記事は日本介護支援専門員協会・柴口里則会長へのインタビュー取材に基づいてJoint編集部が作成したものです。

1人44件は十分に可能

逓減制の緩和も、我々が繰り返し要請してきたことの1つです。多くの方の後押しもあって、このタイミングで実現することができました。

現在、ICTをはじめ様々な文明の利器が使えるようになっています。逓減制が導入された頃と比べると、本当に環境が大きく変わりました。これをうまく活かして業務を効率化すれば、1人のケアマネが44件まで担当することは十分に可能だと考えています。

ポイントは基本報酬が2つに分けられ、逓減制の緩和を適用するかどうか選べることでしょう。単位数は変わりませんので、すぐにケースを増やすことが難しいと感じる方、今のままで良いと感じる方は無理に変えなくて大丈夫です。

ケアマネはこれまで、各種研修の充実などで着実にスキルアップを重ねてきました。ICTなどの発展も目覚ましく、多くのケアマネは44件まで難無く対応することができるはずです。そうした方は逓減制の緩和を選び、地域で一段と活躍して頂きたい。個々のケアマネが変わらず質の高い仕事をしていくことが重要、という話は敢えてするまでもありません。

更なる緩和の是非にも関心

これは個人的な意見ですが、私は逓減制を更に緩和することを検討しても良いと考えています。例えばかかりつけ医も、担当ケース数の上限を決められているわけではありません。多くの患者さんから支持される方、必ずしもそうでない方がおられ、その違いが経営にも影響を及ぼします。

ケアマネだって、要請を受けたらより柔軟に担当できる仕組みへ変えていっても良いかもしれません。もう少し競争原理が働く環境を作り、モチベーションのアップやサービスの質の向上を図るのも1つの道ではないでしょうか。これはあくまでも、1人のケアマネとして私が抱いている個人的な見解であり、今後も多くの方と意見交換をしていきたいと思っています。

20年越しに開いた風穴

改定のテーマは多岐にわたるのですが、ここでは新たな評価にも触れさせて頂きます。

今回、利用者の診察への同席を要件とする「通院時情報連携加算(50単位/月)」が新設されました。あわせて、利用者が亡くなって実際のサービス利用に至らなかった場合であっても、退院時などに必要な相談・調整を行っていれば基本報酬を得られるようになりました。

長らくケアマネのシャドーワークになっていて、介護報酬が全く支払われてこなかった部分です。我々が継続して国に要望を重ねてきたことであり、ようやく一定の成果が得られたと歓迎しています。

「新加算はたかだか月1回の50単位じゃないか」「無報酬の業務は他にもある」。

そんなお叱りの声が聞こえてきます。ご不満は良く分かりますし、「力不足だ」というご批判も真摯に受け止めます。

ただ、これまで20年間びくともしなかった山が動きました。まともに聞いてもらうだけでも難しい話でしたが、ようやく理解を得ることができたのです。0を1に変えるまで、本当に長い道のりでした。私はこれを大きな一歩だと捉えています。ひとまず風穴を開けることだけは実現できました。

王道で拓くケアマネの未来

しつこいようですが、他の具体策も含めてこれで十分だとは思っていません。もう少し高い単位数を設定して頂けないか、と要望していた加算などもありましたが、残念ながら至りませんでした。今後も引き続き必要な改善を求めていくつもりです。

3年後の2024年度は、医療と介護の同時改定となります。

今回は基本報酬をはじめプラスの要素が多かったですが、次回も同じ様な結果になるとは限りません。また激しい議論が展開されることでしょう。

国民負担を前提として報酬を得ている我々が、専門職として果たすべき責務とは何か − 。国の経済、財政の厳しさも念頭に、我々はこうした問いに向き合って実行していきます。そのことで社会に価値を認めて頂き、ケアマネの未来を切り拓いていきたいと考えています。

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