新型コロナが理由の看護師離職、病院の15.4%で 日看協調査

「看護職員の新型コロナウイルス感染症対応に関する実態調査」結果概要(12/22)《日本看護協会》

日本看護協会(日看協)による新型コロナウイルス感染症対応に関する実態調査で、感染症指定医療機関などで感染リスクなどを理由とした離職があったと2割超が回答した。また、電話対応や清掃、洗濯などで本来の看護業務に専念できない状況にあることが分かった。

調査は9月8日から28日までの期間に、▽病院看護管理者(有効回収数2,765件)▽介護保険施設看護管理者(1,865件)▽訪問看護ステーション看護管理者(2,664件)▽感染管理認定看護師・感染症看護専門看護師(803件)▽感染領域以外の認定看護師・専門看護師(2,679件)▽都道府県看護協会会長(47件)▽復職した潜在看護職員(689件)▽個人(全看護職員、3万8,479件)-を対象に行われた。

病院看護管理者への調査で「看護職員の不足感」を聞いたところ、全体では34.2%で不足感があったと回答。このうち、感染症指定医療機関など(1,138件)では45.5%で不足感があったと回答した。病院で看護職員が不足した場合「病棟再編成や配置転換等により院内で人手を確保した」が68.9%で最も多かった。感染症指定医療機関などでも同様に人手を確保した割合が79.6%で最多だった。

また、病院全体の15.4%で、新型コロナウイルス感染症対応による労働環境の変化や感染リスクなどを理由にした離職が「あった」と回答。このうち、感染症指定医療機関などでは21.3%が「あった」としており、離職の割合が高かった。

訪問看護ステーション看護管理者への調査では、利用者やその家族から訪問中止の要望が「あった」事業所が7割を超えた。訪問中止要望への対応では「訪問を取りやめた」が51.3%で最も多く、訪問を取りやめたが「電話等で療養指導や服薬確認等を行った」が43.9%でこれに次いだ。看護職員の不足感は21.5%が「あった」と回答した。不足した場合の確保策は「新規採用した」が30.5%で最多だが、「確保できなかった」も22.1%あった。

感染管理認定看護師・感染症看護専門看護師への調査では、新型コロナウイルス感染症対策において「中心的な役割を果たした」と76.3%が回答した。感染管理体制で行ったことは、▽感染症に関連した職員からの相談対応90.3%▽院内ゾーニングの整備・周知89.7%▽感染症対策のマニュアルの見直し、改定88.3%-などの順に多かった。

また、所属施設外から感染症対策のための協力要請が「あった」と回答した552件のうち、実際に協力・支援を行ったのは、▽医療機関62.7%▽保健所55.2%▽居住系介護施設51.1%-などだった。

感染症への対応に当たり苦慮したことが「あった」と回答した777件のうち、▽職員の対応(不安の訴えなど)86.2%▽感染防止に関連する物品の調達85.3%▽感染症対応に追われ平時の業務が実施できない83.5%-などの回答が多かった。また、52.9%が「委託業者との調整(汚染リネンの処理、清掃、感染症廃棄物など)」に苦慮したと回答した。

個人への調査結果では、感染拡大の影響により、20.5%の看護職員が差別・偏見が「あった」と回答。差別・偏見の内容は、▽家族や親族が周囲の人から心無い言葉を言われた27.6%▽患者から心無い言葉を言われた19.8%▽地域住民から心無い言葉を言われた19.2%-などだった。また、今後も「看護職として働き続けたい」は82.3%で最多だったが、「離職して看護職以外の仕事で働きたい」「働きたくない」のいずれも8.9%の回答があった。

日看協の福井トシ子会長は22日の記者会見で、看護職員の離職について「職場を離れる看護師を責めるわけにはいかない」とし、この調査以降も感染が継続していることから看護師は精神の疲労がピークを迎えており、使命感だけでは限界に近づいていると訴えた。また、患者家族からの問い合わせなどで電話対応が増えたこと、感染症に対応する病棟において清掃や洗濯も看護職員が対応していることなどから、看護業務に専念できる環境が必要で、関連団体と話し合って調整を進めて打開したいとの考えを示した。

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