介護DBから利用者の自立度を追跡調査 厚労省が結果を提示

社会保障審議会介護給付費分科会(第185回 9/14)《厚生労働省》

2021年度介護報酬改定に向けた、社会保障審議会・介護給付費分科会の14日の議論では、介護DBから「寝返りをうつことも困難である寝たきり状態」(C2)の利用者の4年間を追跡し、自立度の改善ケースがあることを厚生労働省が示した。委員からはデータの利活用を評価する声や、成果があるケアへの報酬での評価を求める意見があった。

・第185回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料

寝たきりの大きな要因となる廃用症候群(心身の機能を適切に使用しないことからの機能低下)は、軽い転倒のようなわずかなきっかけによって生じ、若年者よりも高齢者に起こりやすい。生活の不活発化から、一層の廃用症候群の進展という悪循環を生み「寝たきり老人」を作る大きな原因になるため、離床・リハビリテーション・介護により、悪循環を断ち切ることが重要だとされている。

厚労省は介護DBの集計結果から、C2の利用者のうち、介護サービス等の給付を受ける中で、自立度が改善しているケースが少なからず存在することを分科会に報告した。高齢者における離床時間とADLについての調査結果では「有意に関連し、離床時間が少ない人は自立度が低い傾向にある」ことから、寝たきり高齢者においても、そこに至る前の段階で日中等の過ごし方が重要になるとの考えを示した。

これに対し、濵田和則委員は、介護DBでC2の追跡がされたことを評価し、さまざまな角度から事例の要因を明らかにして横展開することを求めた。江澤和彦委員(日本医師会常任理事)も「非常に重要な視点」と評価。廃用による障害は適切なケアで大きく改善し、さらに離床時間が長いほどADLが改善するため「報酬に反映してほしい」と述べた。

18年度介護報酬改定では、施設系サービスで排泄の要介護状態を軽減できると医師等が判断して利用者もそれを希望し、多職種で支援計画の作成とこれに基づく支援等を実施した場合に6月目まで算定可能な「排せつ支援加算」(100単位/月)や、褥瘡の発生を予防するための褥瘡ケア計画の作成とそれに基づく管理等を評価する「褥瘡マネジメント加算」(10単位/月)が新設された。この日の分科会では、これら加算の取得が進んでいないことが課題に挙がった。

排せつ支援加算の算定状況の調査では、老人保健施設の算定率が高いという結果が示されたが、東憲太郎委員(全国老人保健施設協会会長)は、排泄は生活機能で非常に重要な部分で、在宅支援などをする老健の算定率が他の施設より高いのは「当たり前」とする一方、褥瘡は低栄養がベースにあり、栄養改善しないと改善しないと指摘。「低栄養リスク改善加算」(300単位/月)と褥瘡マネジメント加算は併算できないので、低栄養リスク改善加算の中に、褥瘡がある場合とない場合で分けて評価するなど、1つにまとめることを提案した。

また、褥瘡の定義について施設への調査では、「持続する発赤」からが約5割、「真皮までの損傷」からが約3割との回答で、施設により褥瘡についての認識が異なることが分かった。厚労省は分科会後の記者説明会で、今後の議論で統一する考えだとした。

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