介護慰労金の辞退、勘違い兵庫県知事にはびっくり!


《 淑徳大総合福祉学部教授 結城康博 》

驚きました。まさに青天の霹靂。【結城康博】

兵庫県の井戸敏三知事が6日、コロナ禍を踏まえ原則すべての医療職、介護職へ全額国費で支払われることになった慰労金をめぐり、対象者の範囲を狭める意向を表明しました。

細部は今まさに検討中のようですが、実際に感染者に対応した施設や、一定の応援・協力体制を敷いた施設などに絞りたいと説明しています。それ以外の現場の職員について会見で、「何もしていないのになんで慰労金を出すのか」とはっきり述べました。

勘違いも甚だしいですね。残念としか言いようがありません。

介護関係の団体は今こそ、井戸知事への強い反対声明を発表してはいかがでしょうか。私も1人の会員として、特に日本社会福祉士会、日本介護福祉士会、日本介護支援専門員協会には撤回を求めて頂きたいと期待しております。

改めて言うまでもないことですが、介護職は感染拡大を防ぐためにぎりぎりの綱渡りを続けてきました。自分が感染してしまうリスクが避けられない中で、高齢者の暮らし、尊厳、命を守るために職責を全うしています。

クラスターの発生などが一部に留まったのは、何より介護現場のきめ細かい努力のおかげでしょう。職員は今なお、プライベートの時間も含めて厳格な感染防止策をとっています。感染者を支えたところはもちろん、感染者を出さなかったところも最大限の評価を受けて当たり前です。

それなのに「何もしていない」と言い放つとは…。兵庫県の介護職のことを思うとやりきれません。

政府・与党内にも現場の実態を理解している人がおり、そうした人の働きかけによって今回の慰労金は実現しました。介護分だけで4132億円。これほどの巨額が全額国費で投じられるのは極めて異例で、私はほとんど奇跡に近いと捉えています。現場の精神的な支えにもなる良い判断ではないでしょうか。

それを知事の独断で敢えて辞退するとは…。厚生労働省もさすがに想定していなかっただろうと思います。

今回の騒動は、地方分権の1つの弱点を改めて浮き彫りにしたとも言えるでしょう。地域に根ざす介護保険にとって大事な理念ですが、ひとたび福祉に無関心な人が自治体を動かすようになると、そこの住民が厳しい立場に追い込まれる結果を招いてしまいます。施策の性質によってはやはり、国がある程度のラインを必ず守らせるということも必要だと言わせて頂きたい。

ちなみに、一躍有名人になった井戸知事に対し、SNSでは「もう当選させない」「次は絶対に投票しない」といった投稿が多くみられますが、井戸知事は現在もう5期目。6期目を目指すことはないのでは、と私はみております。

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