サービス再開支援をめぐるポイント

第二次補正予算による新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業(介護分)の実施要綱が示されました。「慰労金」の支給が注目されますが、ここでは、「在宅サービス事業者による利用者への再開支援」にかかる助成について取り上げます。特にケアマネにとって注意したい点は、どこにあるのでしょうか。

ケアマネへの助成額の「差」に着目する

今回の助成は、4月1日以降で、その事業所の介護サービスを過去1か月以上休止していた利用者が対象となります。居宅介護支援については、「在宅サービスを(休止によって)1回も利用していない人(利用者終了者は除く)」が対象です。そうした利用者に対して、サービス利用の再開に向けた支援を行なった場合に「利用者単位」で支給されます。

ポイントは、「実際にサービス再開につながったかどうかは問わない」という点です。つまり、「サービス再開につなげること」ありきが目的ではなく、あくまで「そのための支援」という過程に着目したことになります。プロセスに着目した助成金という点で、ケアマネジメントの本質は見すえられているわけで、その意味では評価できる施策といえます。

ただし、居宅介護支援に関して注意したいのは、「再開支援」に向けて「看護師等が協力したか否か」によって助成額に少なからぬ差が生じていることです。たとえば、看護師等が協力した場合の基準額は、(1)電話による確認は1人4500円、(2)訪問による確認は6000円となっています。一方で、看護師等の協力がない場合には、(1)で1500円、(2)で3000円という基準額が示されています。

「医療系職種の強い関与」が意味するもの

ちなみに、この場合の「看護師等」というのは、看護師の他に居宅療養管理指導を手がける専門職が含まれます。具体的には、医師、歯科医師、歯科衛生士、薬剤師、管理栄養士となります。また、「協力する」というのは、(1)ケアマネジャーの依頼を受けて、(2)上記の専門職が「訪問」したうえで所要の対応を行なうこととしています。

長期間サービスを利用していないという状況では、運動機能や口腔・栄養の状況などをしっかり確認するという点で医療・看護系職種との連携は安心感を高めるうえで確かに重要かもしれません。いわば、医療系職種からの指示・助言が絡んでくる退院・退所加算等に該当する実務といえるでしょう。また、地域によっては感染不安が依然として収束していない中での「サービス再開」ですから、医療系職種が絡むことで、本人・家族側の安心感を高めるという効果も期待できます。

とはいえ、ここまで医療系職種による(情報共有等の連携ではなく)「訪問」によって助成額に差をつけるというのは、施策側の強い意図も感じられます。たとえば、これから先、(特にシーズンによって)新型コロナ感染のリスクを常に想定しなければならない状況が続いたとします。そうなった場合、ケアマネジメントの介護報酬上の評価に際敷いても、「医療系職種のより強い関与」がポイントになってくる可能性もあるわけです。

新型コロナ長期化を見すえた時の介護保険

ここで頭に入れておきたいのは、現在も継続している「ケアマネジメント手法の標準化事業」です。これまで脳血管疾患や大腿骨頸部骨折などの疾患等に着目したうえで、「必要性が想定される支援」に向けたガイドライン作成などが行われています。どちらかといえば、「疾患別」という視点での標準化を図る中で、2021年度の報酬・基準改定でもどのように反映されるのかが注目されています。

ただし、新型コロナの感染拡大という環境変化が加わったとき、標準化に向けては新たなデータが必要になります。そこで注目されるのが、今回の「サービス再開支援」により、ケアマネジメントに医療系職種がかかわるという枠組みです。これにより、上記のデータ収集にも活用できる環境が整うことになるわけです(ケアマネジメント過程の一環であれば当然ですが、今助成金の実施要綱では、改めて「支援経過の記録」を求めています)。

いずれにしても、今回の新型コロナ感染対策においては、厚労省関連を中心として多大な公費が投入されています。今後、いずれかのタイミングで財務省などからの「拠出にかかる締め付け」の圧力が強まることは間違いないでしょう。となれば、今回のような予算措置でも、将来的な施策に活用できる(それにより、財務省などに財政健全化への道筋が説明できる)ような「種」をまいておくことが必要になってくるわけです。

ややうがった見方かもしれません。しかし、今回の「慰労金」なども含め、介護保険の先行きに向けてどのような布石が打たれていくかについては、注意深く見極めたいものです。

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