国立がん研究センターが「がん医療における自殺対策の手引き」

がん医療における自殺対策の手引き(2019年度版)(5/21)《国立がん研究センター》

国立がん研究センターは21日、「がん医療における自殺対策の手引き(2019年度版)」を公開した。がん患者では「がん診断直後から6カ月以内」の自殺の危険性が最も高いことなどを挙げ、「診断直後の時期の自殺対策が急務である」としている。

・がん医療における自殺対策の手引き(2019年度版)

手引きでは、がん患者の自殺の危険性について、「がん診断後の時期により異なることが示されており、がん診断後6カ月以内、特にがん診断直後をピークとして経時的に危険性は漸減することが多くの調査で報告されている」と説明。日本の先行研究については、対象地域や患者数が限られていることや、調査が行われた年代も異なることに「注意が必要」とし、「わが国全体のがん患者の自殺の危険性とがん診断後の期間によるその推移は今後全国がん登録情報を用いて明らかにする必要がある」としている。

がん原発部位ごとの検討では、国内の調査で男女共に生殖器がんで高い自殺の危険性を認めたことや、海外の研究を中心としたメタ解析では肺がん、食道・胃・肝臓・膵がん、前立腺がんなどで自殺の危険性が特に高いことが示されていることを記載。がん患者の自殺の発生場所については、「全国がん登録および東京都の自殺検案事例を用いた調査では自宅敷地内での自殺が約7割を占め、病院内での自殺はごくわずかであった」との見解を示している。

がん患者の自殺の背景要因に関しては、東京都の自殺検案事例を対象とした調査で、自殺で死亡した事例のうち、がん罹患群ではがん非罹患群と比較して同居者がいる割合や生活保護・年金の受給を受けている割合が高く、飲酒・喫煙者の割合は少ないことが報告されていることなどに触れ、「一般人口とがん患者ではうつ状態という共通の自殺の背景要因も存在する一方、アルコール使用障害など一般人口における自殺者に高い頻度で認められる他の要因に関しては、がん患者はそれらを有していなくても自殺に至っていることが示唆される」としている。

また、前立腺がん患者における抗アンドロゲン療法が有意にうつ状態と関連することが報告されていることなどを取り上げ、「治療中のがん患者の中では侵襲性の高い治療やうつ状態の危険性を上昇させる治療を受けている患者は特に自殺の危険性に注意が必要であることを示唆している可能性がある」と記載している。

国内外の研究などを踏まえた提言では、「がん患者ではがん診断直後から6カ月以内(特に最初の数カ月以内)の自殺の危険性が最も高く、その後時間の経過とともに危険性は漸減することが多く報告されており、また、がん診断後の時期ごとに自殺のリスク因子は異なることが想定される」と記載。この時期の自殺対策の検討が不十分であったことに言及し、診断直後の時期の自殺対策の必要性を挙げている。

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