【結城康博】通所介護はヘルパー事業所化せよ コロナ特例の展開を!


《 淑徳大学総合福祉学部 結城康博教授 》

残念ながら極めて厳しい状況に陥ってしまいました。ただし、その中から光明を見い出せる時もあるのではないでしょうか。【結城康博】

新型コロナウイルスのパンデミックで“利用控え”が広がり、通所介護がかつてない苦境に立たされています。現場でのクラスターが今後も収まらないようだと、行政が休業要請に踏み切る可能性も更に高まるでしょう。

まず第一に、自宅に留まらざるを得なくなった利用者の生活を守らなければいけません。適度な外出、運動、コミュニケーション、入浴、バランスの取れた食事 − 。これらが急に失われる影響は非常に大きく危険です。

厚生労働省は既に、通所介護の事業所が必要に応じて利用者へ訪問サービスを提供することを特例で認める通知を出しました。

これは一定の評価を与えられる判断ですが、肝心の対価が安すぎると指摘させて頂きたい。事業所にとっては雀の涙。サービスを継続して提供していくには不十分で、早晩、利用者を支えられなくなってしまいます。速やかに改善しなくてはいけません。

ここは思い切った施策が必要な局面ではないでしょうか。私は緊急の暫定措置として、訪問介護の仕組みを踏襲した報酬を通所介護にも適用する、あるいは通所介護を訪問介護の事業所として見なすことを提案します。それも、ゆくゆくは一部を恒久的な措置としていくことを念頭に実施するよう求めたい。

最大の理由はヘルパー不足です。もはや完全に危機と言える段階に至っていることは周知の事実でしょう。在宅の介護ニーズを訪問介護のみで支えていくのは不可能 − 。内心そう思っている関係者は多く、厚労省も打開策が無くて困っていましたよね?

ですからこの機を捉え、通所介護の人的資源も訪問介護に投入していける方向へ舵を切るべきと考えます。今回、通所介護が機能不全となってしまったのは主に都市部。ヘルパー不足が既に大きな問題として表れている地域と重なります。

通所介護のヘルパー事業所化、と言ってもいいかもしれません。もちろんケースによるとは思いますが、平時でも一部でこれを認めればヘルパーの層を厚くする道が開けます。小規模多機能と似た利点を得ることも期待できるでしょう。

かなり大胆な意見に聞こえるかもしれませんが、ヘルパー不足はそれほど深刻です。他に解消できる妙案も見当たりません。まずは現下の非常事態に全力を傾注すべきですが、その過程で使った特例を前向きに展開する可能性を将来的に検討していくことは、必ずしも無理筋ではないでしょう。

利用者はサービスを受けやすくなりますし、事業所を経営する立場の皆さんにもメリットがあります。通所介護の人材が住まいにも介入することで、自立支援・重度化防止につながる効果的な介護が少し進むかもしれません。

ヘルパーの資格(初任者研修の受講)は、報酬のインセンティブなどを設けて徐々に取っていってもらえばいいでしょう。今回のコロナ禍で既に特例を認めていますので、そうした弾力的な運用も行いやすくなっています。

他にも色々と制度的な課題があると思いますが、そこは知恵を絞って1つずつ乗り越えていくべきです。

通所介護の皆さんには是非、今回の特例を活かして積極的に訪問サービスを行い利用者の生活を支えて頂きたい。そうした活動を通じて自らフィールドを広げていけば、今後の地域では一段と重要な、欠かせない存在として重宝されていくでしょう。

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