がん患者の自殺防ぐ支援体制の構築で議論 厚労省検討会

がんとの共生のあり方に関する検討会(第4回 1/29)《厚生労働省》

がん患者の自殺を防ぐため、専門的なケアにつなぐ体制をいかに構築していくべきか-。厚生労働省の「がんとの共生のあり方に関する検討会」で1月29日、こうした協議が始まった。自殺の実態に関する国内外のデータから、診断されてからの時間の経過とそれに伴い患者が抱える課題に応じた支援が求められることを確認した。がん登録のデータ解析など、より詳細な実態調査も進められている。

・第4回がんとの共生のあり方に関する検討会(資料)

同日、事務局は患者を専門的なケアにつなぐ体制について、現状の課題を洗い出すよう促した。それに伴い、内富庸介参考人(日本サイコオンコロジー学会副代表理事)が、がん患者の自殺の実態に関する各種調査データを報告した。

日本ではがん患者の自殺の実態について、十分とされるデータが存在しない。そのため、日本サイコオンコロジー学会ではがん登録のデータなどを用いた研究を進めている。内富参考人はこの研究の結果報告は、4月以降になる予定と説明した。

その代わりに示したのが、米国のがん登録の情報から得た患者の自殺の時期についてのデータ。

これは、1973年から2014年までに登録されたがん患者865万6,619人のうちの自殺者について、がんと診断されてから経過した年数を「1年未満」「1-5年未満」「5年以上」に分類したもの。さらにそれぞれの自殺者の数をがんの種類別に分析している。内富参考人は、データの特徴的な点として、若年層に多い精巣がんとホジキンリンパ腫では、時間の経過とともに自殺者が増加していたり変わらなかったりすることを指摘した。

また、内富参考人は東京都監察医務院で09-13年の間に検案された自殺事例9,841例を分析した後向き調査の結果も提示。このデータでは、肺がんや肝胆膵がんなどの難治がんよりも、消化器がんや頭頚部がんのように機能障害の多いがんで自殺者の割合が高かった。

こうしたデータからは、これまでの報告事例において自殺リスクが高いことが示唆されてきた、がん診断直後の患者だけでなく、がんサバイバーなどに対する適切なフォローが求められることが分かった。そこで、内富参考人の所属する研究班では、▽がん診断直後(おおむね6カ月以内)▽がん診断後一定の時期を経過した進行がんの積極的治療中から中止前後の時期、終末期▽がんが治癒もしくは安定したがんサバイバー-の3つの時期に分けて一般従事者向けの手引書を作成中という。

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