社保審・介護保険部会 負担増見送り、現役世代や経済界から強い不満の声 「次は大きな見直しを」


《 社保審・介護保険部会 12月27日 》

今回の見直しが全体として小幅にとどまっただけに、次回は論争が一段と激しさを増すとみられる。

社会保障審議会・介護保険部会が2021年度の制度改正に向けてまとめた意見書―。2割負担の利用者の拡大など、給付費の伸びを抑制するための施策のほとんどが盛り込まれなかった。27日の会合ではこれを受けて、主に現役世代や企業の立場を代表する委員が強い不満の声をあげた。

社会保障審議会介護保険部会意見

政府、現場の慎重論に配慮

「非常に残念。制度の持続可能性を高める観点から、この機会にしっかりと実行すべきだった」

そう苦言を呈したのは日本商工会議所の岡良廣氏。「今後は改革に道筋をつける議論をしっかりと進めて欲しい」とくぎを刺した。

政府は今回、自治体や介護現場の関係者らが繰り返し訴えていた慎重論に配慮。財務省などが提案していた利用者の自己負担割合の引き上げを見送る判断を下した。居宅のケアマネジメントで新たに自己負担を徴収する案や、軽度者の訪問介護・通所介護を市町村の総合事業へ移す案など、副作用を懸念した反対意見が根強いメニューも採用していない。

業界内では安堵の声も聞かれるが、経済界は大きなストレスを溜め込んでいる。現役世代の負担がさらに重くなっていくためだ。

40歳から64歳の第2号被保険者は、毎月の保険料を払っていくことで制度を支えている。およそ10兆円にのぼる給付費のうち、この世代の負担で27%を賄う決まりだ。1人あたりの平均額は、昨年度で月5700円程度(労使折半前)。既に制度スタート時の2倍以上に膨らんでおり、今後の更なる上昇も不可避の情勢といえる。

「今回は踏み込み不足」

日本経団連の井上隆氏は27日の部会で、「介護ニーズがさらに増大する将来のことを考えると、給付と負担の見直しを今回しっかりと行うべきだった」と主張。中小企業の社員らが加入する協会けんぽの安藤伸樹氏は、「今回は踏み込み不足。介護保険でどこまで賄っていくのか、という議論をもうそろそろ始めないといけない」と注文した。

2025年以降の近未来、日本では高齢者の急増と現役世代の急減が同時並行で進むことになる。

右肩上がりの給付費のリソースをどう捻出し、いかに制度を存続させていくのか―。

これはどうしても避けて通れない根源的なテーマだ。被保険者の範囲を30代以下に広げるべきという声も一部にあるが、「子育て世帯には負担を求められない」という否定的な見方が大勢を占めている。

この日の会合では、大企業の社員らが加入する健康保険組合連合会の河本滋史氏が以下のように指摘した。

「2024年度の次の制度改正では、もっと大きな見直しが必要になる」。

コメント[31

コメントを見るには...

このページの先頭へ