今さら聞けないケアマネジメント 第9回「地域ケア会議の捉え方」

2015年より法制化された地域ケア会議。「高齢者個人に対する支援の充実とそれを支える社会基盤の整備を同時に進めていくことを目的とする会議」とされていますが、皆さんはどのように捉え、参加しているでしょうか?

    

地域ケア会議のあり方

皆さんは地域ケア会議に対してどのような考えを持っていますか? 肯定的? 否定的?

当初示されていた某市で実施されているような地域ケア会議(厚労省では「見本」としてとらえているようですが……)は、私は全面的に否定しています。あれは単にケアマネいじめの場でしかありません。あれをしてケアマネジャーに何一つ役に立つことはありませんし、ケアマネジャー自身が自ら思考しなくなってしまいます。そして何よりもケアマネジャーは、利用者を主役として見るのではなく、地域ケア会議の顔色をうかがい、ご指導賜らないように、ということだけを考えて仕事をするようになってしまいます。こんな会議は百害あって一利なしなのでやらない方がましです。

さて。地域ケア会議として、皆様の地域では何が行われているのでしょうか?

聞いたところでは某市と同様な地域ケア会議をしているところ。地域ケア会議という名称は使っているけど、内容は研修であったり事例検討であったりと、名称と実態が異なっていたりするところ。地域ケア会議と地域ケア会議個別会議、地域ケア会議全体会議とを「区別」して、国が求めている「地域ケア会議」としての後者の会議はまだ本格的に指導していないというところ。状況としては様々な実態があるようです。

ちなみに当地では地域ケア会議という名称を使いながら、実態は研修会等であるという状況になっています。本来の意味の地域ケア会議は「訪問介護における一定回数以上の生活援助」についての協議の場として機能している程度の状況だといえます。

私自身の中で地域ケア会議は、ケアマネジャーが抱えている虐待ケースや多問題ケースなどのいわゆる「困難ケース」について、その支援を地域全体の力を活用して、より効果的、より効率的な支援となるように協議をしていく場であると理解しています。その意味でケアマネジャー支援の場であると考えています。

ですから当地における地域ケア会議は、名称こそ違いますが、内容としてはケアマネジャー支援に寄与できるものとなっているし、参加して損はない場であると考え、評価しています。その裏では地域包括支援センターが積極的に困難ケース対応のために多くの専門職を招集して事例検討などの方法でケアマネジャー支援のために積極的に活動してくれています。

参加するうえでの心構え

このような地域ケア会議に参加していくうえでケアマネジャーに求められる心構えとしては次の点を重要視する必要があると考えています。

1.ケアマネジャーは説明責任を果たす。
2.ケアマネジャーは代弁者となる。
3.ケアマネジャーは他の専門職の見解や意見を参考に、自分で結論を出す。

簡単に説明をしていきます。

1.ケアマネジャーは説明責任を果たす。

ケアプランの内容、ケアプランの根拠等については、ケアマネジャーが説明しなければいけませんし、その説明も根拠となった情報に基づき、計画に位置付けるまでの過程について、根拠に基づいて説明ができなければいけません。

例えば「過去に似たような利用者さんの支援をしたとき、この方法でうまくいったので、今回もそれに倣(なら)った」なんていう説明をするようではいけません。目前の唯一無二の存在である利用者に対して、自分がアセスメントとして関わった中から得た情報や、その情報の分析結果を根拠として、ケアマネジャー自身の判断結果の過程を説明できることが必要最低条件となっていきます。例えば「なんで通所リハビリテーションを利用していないのか?」と問われたとき、計画に通所リハビリテーションを組み入れていない理由を、アセスメントの結果で得られた情報を返答し、組み入れていないということに納得が得られるようにする責務があるということになります。

2.ケアマネジャーは代弁者となる。

利用者や家族と直接会って話をし、アセスメントをしている専門職はケアマネジャーしかいません。だからケアマネジャーは利用者や家族の代弁者となります。利用者の意向、家族の意向、支援に対する考え方などについて、地域ケア会議に出席していない両者や家族の代わりに、ケアマネジャーがアセスメント結果に基づいて必要な意見を代弁することが求められてきます。

3.ケアマネジャーは他の専門職の見解や意見を参考に、自分で結論を出す。

ケアマネジャーが自ら結論を出さないとした時、地域ケア会議の結果としてこのサービスの利用を指示された、ということになります。このようにして利用をしたサービスが利用者の満足するものでなかった、結果をもたらすことがなかったというとき、その責任はだれが負うことになるのでしょうか。地域ケア会議の参加メンバーは絶対にその責任を負ってくれることはありません。むしろ結果を出せないような支援にしてしまったとしてケアマネジャーが非難されるだけでしょう。ケアマネジャーは言いなりになった自分がばかだったと自分を責めるしかないでしょう。

しかし地域ケア会議の討議内容を参考として、自分でこうした方がよい、と考えるに至った時は、ケアマネジャー自身が責任を負うことになります。さらにこの過程で改めて利用者や家族と協議をして決定していけば、結果は求めているものからそう離れることはなくなるでしょう。だからケアマネジャーは開き直って、地域ケア会議の議論も「参考」にして、自分でどうしていくのかを決めるという心づもりで会議に臨んでほしいと思います。

◆著者プロフィール 中村雅彦
1960年生まれ。主任介護支援専門員・社会福祉士。
日本社会事業大学を卒業後、特別養護老人ホームの生活相談員を経て、介護保険制度施行と同時にケアマネジャーに。独立居宅の管理者兼介護支援専門員として約15年務め、現在は北アルプス医療センターあづみ病院の居宅介護支援事業所に勤務。前長野県介護支援専門員協会会長、日本介護支援専門員協会長野県支部代議員、介護支援専門員実務研修・専門研修講師、松本短期大学非常勤講師等を歴任。日本介護支援専門員協会には幾度となく現場目線からの提言をしている。優しい眼差しと熱い口調でケアマネの養成に勤めている。趣味はスポーツと読書。

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