ケアマネが注目したい診療報酬改定(3)~入院時支援加算の拡充による影響~

診療報酬の動向で気になるのが、入退院時のさまざまな評価との関連でしょう。ケアマネとしては、入院時情報連携加算や退院・退所加算の要件拡充などもさることながら、対医療連携での新たな加算や基準につながる可能性もあります。2021・24年度改定をにらみ、どのようなしくみが生まれるのかを展望します。

新加算において入院医療機関がなすべきこと

11月29日の中央社会保険医療協議会では、入院医療での「在宅復帰支援」がテーマとなりました。検討対象となったのは、入院時の疾患別リハビリやデータ提出にかかる評価、入退院支援加算、入院時支援加算です。特に、2018年度改定で誕生した「入院時支援加算」は、退院時の「共同指導料」に対応するものとしてクローズアップされています。

まず、この入院時支援加算の要件を改めて確認しましょう。対象となるのは、自宅等(つまり転院を除く)から入院する「予定」の患者です。その患者の入院予定が決まった時点で、以下の8項目を行ない、入院中の療養支援計画を立てることが求められます。

その8項目とは、(1)身体的・精神的・社会的背景を含めた患者情報の把握、(2)褥そうに関する危険因子の評価、(3)栄養状態の評価、(4)服薬中の薬剤の確認、(5)退院困難な要因の評価、(6)入院中に行なわれる治療・検査の説明、(7)入院生活の説明、そして、要介護・要支援の人については、(8)入院前に利用していた介護・福祉サービスの把握が加わります。

なお、上記について患者の病態等によって「できない」場合は、「可能な範囲」でOKとしています。ただし、(1)、(7)、(8)は必須。要介護等の高齢者については、在宅での生活や介護サービスの利用状況といった、まさにケアマネが保持する情報がカギとなるわけです。

入院時情報連携加算に「新区分」の誕生も!?

ところで、ケアマネ側の入院時情報連携加算における情報提供内容ですが、厚労省の様式例では、「身体・生活機能の情報(ADLやIADL等にかかる情報)」のみならず、「本人の生活歴や趣味・趣向・関心領域にかかる情報」や「本人・家族の(入院前の)生活の意向」なども含まれています。もちろん、「入院前の介護サービスの利用状況」も含まれます。

つまり、医療機関側の入院時支援加算においても、本来は「入院時」にケアマネが提供している情報に依拠する部分が大きいわけです。当然ながら、入院医療機関から担当ケアマネに対して、(ケアプランや直近のモニタリング情報に加えて)上記の「入院時情報連携加算」にかかる情報を「前倒し」で求めてくるケースもあるでしょう。そして、仮に入院時支援加算が拡充されるとなれば、「前倒しの求め」はさらに増えてくる可能性があります。

ここで容易に予想できるのは、ケアマネ側の介護報酬上でのインセンティブを厚労省が打ち出してくることです。たとえば、現状で「入院からの日数(3日以内、7日以内)」によって分けられている加算に、「入院前(利用者の入院予定が決まった時点)」というタイミングでの新区分を設けるなどが考えられます。ケアマネの実務負担を考慮した場合、一段高い加算区分が誕生するかもしれません。

ケアマネの負担と処遇のバランスがカギに

ただし、ここで注意したいことがあります。今回の診療報酬改定の議論では、医療従事者の負担軽減が大きなテーマとなっている点です。ちなみに、入退院支援加算や入院時支援加算については、現行で「専任・専従の看護師・社会福祉士など」の配置が要件となっています。この部分についても、厚労省は「医療従事者の働き方(短時間勤務の導入など)」の観点から「非常勤職員による配置を認めてはどうか」という案を示しています。

こうした医療従事者の負担軽減という流れを頭に入れた場合、その先に「ケアマネからの情報提供の質」を問う流れが出てくることも想定しなければなりません。つまり、入院時情報連携加算(上記のように「入院前情報連携加算」などが出てくる可能性も含む)において、提供情報の質を担保するためのハードルが追加されることも考えられるわけです。

ここで思い浮かぶのが、介護保険部会でケアマネジメントについて議論されている中で、「ケアマネジメントの標準化」が課題となっている点です。具体的には、疾患別などのくくりで進行中の「ケアマネジメント手法の標準化事業」をもとに厚労省がガイドラインを作成し、それに準拠した情報提供を要件として求めてくる可能性があることです。

ただし、こうしたガイドライン準拠などとなれば、追加的な研修等も必要で、今度は「ケアマネの働き方」にしわ寄せが及びかねません。当然ながら、(今後議論されるであろう)ケアマネの処遇改善とのバランスがカギとなるわけです。2020年は、診療報酬が改定されたタイミングで介護給付費分科会の議論も進行します。ケアマネの負担と処遇とのバランスがどう図られていくのかに注目しましょう。

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