ケアマネが注目したい診療報酬改定(2)~医師の負担軽減と介護側への影響~

社会保障審議会・医療保険部会で、2020年度の診療報酬改定の方針が示されました。トップテーマに上がっているのが、将来的な医師不足の解決に向けた「医療従事者の負担軽減、医師等の働き方改革の推進」です。この改革方針が具体化される中、介護側にどのような影響がおよんでいくかを展望してみましょう。

医師の「事務」負担の軽減も大きなテーマに

今回示されたのは、あくまで方針であり、これをもとに中央社会保険医療協議会(中医協)で具体的な診療報酬への反映が議論されることになります。さて、上記で示した「医療従事者の負担軽減」等に関連して、どのような報酬改定が進むことになるのでしょうか。

まず注目したいのは、医師等の負担軽減等につながる取組みの評価です。具体的に推進するとしているのが、以下の3点です。(1)医療機関内における労務管理や労働環境の改善のためのマネジメントシステムの実践。(2)タスク・シェアリング(医師の業務を他職種と協働する)、タスク・シフティング(医師の業務を他職種に移管する)。(3)届出、報告の簡素化、人員配置の合理化、となっています。

このうち(2)のタスク・シェアリング、タスク・シフティングに関連して、11月8日の中医協で議論が行われました。注目したいのが、医師の事務負担の軽減に向けた方向性です。医師には、診療業務等のほかにさまざまな事務負担が発生しています。これをどのように軽減するかがテーマとなっているわけです。

「主治医の意見書作成」の負担は大きい

2018年度診療報酬改定の効果検証にかかる調査によれば、医療機関が実施している医師の負担軽減策に「医療事務作業補助者の外来への配置」がトップとなっています。

この医療事務作業補助者については、2008年度から配置にかかる体制加算が設けられています。ただし、要件ハードルが高く、「医療事務作業補助者」を配置していても、「加算はとっていない」というケースも見られます。この加算要件を緩和するという方策が、当然ながら浮かんでくることになりそうです。

ところで、医師が特に「負担」と感じている事務にはどのようなものがあるのでしょうか。その調査結果も示されていますが、それによれば、「要介護認定にかかる主治医意見書の記載」が、「診断書、処方せん等の記載」を抑えてトップとなっています。

もちろん、主治医の意見書作成も診断書、処方せん等の記載も、医師による専権的な実務として動かすことはできません。だからこそ、それ以外の実務でのタスク・シェア、タスク・シフトが視野に入れられているわけです。たとえば、薬剤師による「投薬にかかる入院患者への説明」や、看護師による「(退院時共同指導料にかかる)退院カンファレンスの参加」などがあげられます。

とはいえ、「主治医の意見書作成」が医師の大きな負担になっているという事実は無視するわけにいきません。今後、医師の働き方改革への流れが強まる中で、介護保険制度における「主治医の意見書」というしくみそのものに、医療側から何らかの見直しを求める動きが生じないとも限らないからです。

問題は「意見書」の質にもかかわってくる

現状において、主治医の意見書に関しては、介護側からさまざまな問題指摘も見られます。たとえば、診断された疾病が本人の生活機能にどのような影響をおよぼしているのかについて、「本人の生活歴」なども考慮しながら掘り下げができているのかどうか。また、認知症専門医以外の医師が、認知症のBPSDに関してどこまで正確に把握できているのかどうか。治療や薬剤投与の結果が意識障害等に結びつく可能性もある中で、そうした点も考慮した意見書になっているかどうか、などです。

このあたりは、医師側の「介護」にかかる理解力の向上が課題となるわけですが、ここに「簡易化」という流れが入ってくるとなれば、要介護度の判定の「正確性」が問われるという問題にもつながりかねません。また、その後の主治医とケアチームとの連携にも、さまざまな影響をおよぼすことになります。

以上の点を考えたとき、「主治医の意見書作成」が医師の大きな負担になっているという点について、「意見書の存在そのものが危うい立場に立たされている」という方向でも課題分析を図る必要があるでしょう。「負担が重い」→「意見書の質が問われる事態になりやすい」というのであれば、その状況をいかに改善するかという視点が必要になるわけです。

介護保険部会でも、要介護認定にかかるテーマが論点としてあがっていますが、中医協などとの連携により、「主治医の意見書」について踏み込んだ議論が行われてしかるべき時期に来ているのではないでしょうか。

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