働き方改革を推進する取り組みにさらなる評価を 厚労省

中央社会保険医療協議会 総会(第431回 11/8)《厚生労働省》

厚生労働省は8日の中央社会保険医療協議会・総会で、働き方改革のためにタスク・シェアリングやチーム医療などを推進する取り組みについて、診療報酬でのさらなる評価・見直しを論点に挙げた。「医師事務作業補助体制加算」など、効果があった取り組みをさらに評価することに反対の意見はなかったが、現場が求めている負担軽減策と算定要件にミスマッチが生じているため、緩和や見直しを求める声が多かった。

中央社会保険医療協議会 総会(第431回) 議事次第

厚労省が論点としたのは、▽医師事務作業補助体制加算▽病院勤務医等の負担軽減策▽看護職員の負担軽減等の取り組み▽病棟薬剤業務実施加算等▽栄養サポートチーム加算-の5つ。

「医師事務作業補助体制加算」は、「医師事務作業補助者」を専従で配置するなど、医師の事務作業を軽減する取り組みを評価するもの。2008年の新設時から届出数は右肩上がりに増えていて、18年7月時点で2,828の医療機関が届け出ている。医師事務作業補助者1人に対しての医師数では、20対1の届出数が569件で最も多かった。

18年度診療報酬改定の結果検証の特別調査(19年度調査・速報値)では、医師事務作業補助体制加算を届け出ていない理由として、年間の緊急入院患者数や全身麻酔による手術件数などの「施設基準を満たすことが難しい」「加算の要件に沿った医師事務作業補助者の配置のメリットが少ない」がいずれも全体の5割を超えた。また、加算を届け出ている400床以上の医療機関は常勤で13.0人、届け出ていない医療機関でも常勤で3.7人の医師事務作業補助者を配置していた。

調査では、「医師の負担軽減効果がある取り組み」(複数回答)を施設に聞いた。全体の回答では「医師の増員」(35.2%)が最も多く、次いで「医師事務作業補助者の外来への配置」(31.7%)が多かった。400床以上では、「医師事務作業補助者の外来への配置」が44.0%で最も多かった。

松本吉郎委員(日本医師会常任理事)はこれらの調査結果から、「医師事務作業補助体制加算の効果は明らか」だが、有床診療所入院基本料を届け出ている医療機関など、同加算を算定できない入院料が複数あることから、対象を広げることが必要だとした。猪口雄二委員(全日本病院協会会長)も、急性期の評価の中で新設されたため、大きな病院が有利になっているとし、「算定要件を変えてほしい」と要望した。

病棟における薬剤師の業務を評価する「病棟薬剤業務実施加算」では、加算を届け出ている病院が全体の約2割にとどまり、病床数が多くなるにつれて届出率が高かった。届出をしていない理由では、「薬剤師の人数が不足しているため」が約8割で最も多かった。医師の同意を得て薬剤師が患者に直接服薬指導する「薬剤管理指導料」と「病棟薬剤業務実施加算」は、いずれも常勤の薬剤師2人以上の配置を施設基準としている。

薬剤師の配置による効果について、看護師長調査では、▽速やかに必要な情報を把握できるようになった▽看護職員の薬剤関連の業務の負担が軽減した-とそれぞれ6割以上が回答した。

また、薬学教育6年制学科卒業生の就職先別初任給の調査では、薬局の初任給は26万円超-30万円が41.2%で最も多く、次いで22万円超-26万円が29.7%、30万円超が26.0%、18万円超-22万円が3.1%の順だった。一方、病院・診療所では、22万円超-26万円が50.2%、18万円超-22万円が42.0%で、26万円超-30万円が6.0%、30万円超が1.5%、16万円超-18万円が0.3%だった。

委員からは、▽薬剤師が1人でも同じ作業をすれば加算が取れるように配置基準を見直してほしい(猪口氏)▽共通して言えるのは、算定要件と現場が求めている負担軽減策にミスマッチが生じており、現場の要望を具体化して要件に入れていくことが必要(幸野庄司・健康保険組合連合会理事)▽加算をつくった時代背景と違ってきている(吉森俊和・全国健康保険協会理事)-など、現状や現場の要望に沿った要件の見直しが必要との意見で一致した。

また、募集しても応募がないなど人材不足の問題について、幸野委員は、人数不足ではなく、採用競争力が弱く薬局に負けていると、処遇の差を指摘し、「診療報酬での対応も必要だが、当該者へ還元する仕組みが必要」などと述べた。一方、今村聡委員(日本医師会副会長)は、薬学生は奨学金の返済負担がある場合が多いため、数万円もの給与差があれば薬局を選ぶのは当然のことだとした。病院の採用努力を遥かに超えている状況で、厳しい病院経営の中、薬剤師だけの給与を上げるのは難しく、「財源の配分の在り方について根本的な議論が必要」だとした。

今村委員は、薬局の給与差を問題視して、小規模な薬局と大手チェーンなど、法人の店舗数による給与データの提出を求め、厚労省はこれから精査すると応じた。

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