通所介護の「ADL維持等加算」、ルール見直しへ 厚労省が調査を開始

次の介護報酬改定をめぐる議論の基礎資料を得るための国の重要な調査がスタートした。

その中に「サービスの質の評価に関する調査」がある。厚生労働省は今年度、前回の2018改定で通所介護に新設した「ADL維持等加算」に焦点を絞る方針だ。何を探るつもりなのか。

■2019年度調査は全部で7種類

取り組み普及の課題は?

通所介護の「ADL維持等加算」は、評価期間の中で利用者のADLを維持・改善させた度合いが一定のレベルを超えている事業所が、次の年度に少し高い対価を得られる仕組み。自立支援や重度化防止につながるサービスの展開を現場に促すことが導入の目的だ。ADLの評価にはBarthel Index(*)が使われている。

* Barthel Index(BI:バーセルインデックス)
広く用いられているADLを評価する指標。食事、車いすからベッドへの移動、整容、トイレ動作、入浴、歩行、階段昇降、着替え、排便コントロール、排尿コントロールの計10項目を5点刻みで点数化し、その合計を100点満点で評価する仕組み。

■ADL維持等加算:厚労省説明資料

厚労省は次の改定でルールを見直す構えだ。先月に開催した社会保障審議会の分科会では、今回の調査を通じて「課題や改善点を検討する」と説明した。加算の取得を目指す事業所を増やし、この取り組みを広く普及させていく狙いがある。

調査の中身は3本柱。分科会では以下のように整理した資料が示された。

(1)申し出・算定を行う上での課題は?=申し出から算定に至るまで、具体的に何が障害となっているのかを検証し、算定要件や手続きの改修に関する検討材料とする。

(2)ADLの維持・改善以外に目指している目標は?=ADLの維持・改善以外で、具体的に現場で重視する達成目標は何かを検証し、新たなインセンティブ創出への検討材料とする。

(3)加算がサービス内容に与えた影響は?=事業所ごとに、加算の算定前後における利用者の構成の変化などを分析し、加算が及ぼした影響を検証する。

厚労省の調査サマリー

特に注目されているのが、「算定要件や手続きの改修」「新たなインセンティブ創出」といったワードが含まれているところ。次の改定に向けたテーマとなる可能性が高いとみられる。

緩和して欲しい要件は?

調査の対象となるのは全国の通所介護事業所だ。

厚労省は加算の「届け出あり・算定あり」の635事業所(悉皆)、「届け出あり・算定なし」の254事業所(悉皆)、「届け出なし」の500事業所にアンケートを行う。「届け出あり・算定あり」のところなど約10事業所を訪問して実情をヒアリングする。

加えて、それぞれの担当ケアマネジャー900人超にもアンケートを実施する。このほか、レセプト情報などが蓄積されている介護保険総合DBのデータも活用する考えだ。

分析の着眼点として、ADL評価の実施状況の把握や現行の算定要件を満たす難易度、通所介護計画の立て方の違い、事業所の規模・地域による特徴なども例示されている。事業所へ送る調査票には、緩和して欲しい要件やADL以外の評価軸(*)などを尋ねる項目も組み込まれた。

* ADL以外の評価軸
認知機能、栄養状態、嚥下機能、服薬状況、介護負担、利用者が望む生活、家族が望む生活などから選択する形となっている。

一方のケアマネをターゲットとした調査票は、加算の詳細を理解しているか、誰がADL評価の実務を担っているか、加算の影響・効果をどう認識しているか、などが分かるように設計されている。

結果の公表は年度末に

こうした調査票は、先月21日までに対象となった事業所へ発送された。提出期限は今月最後の平日、11月29日だ。

厚労省は介護保険最新情報などを通じて関係者に広く協力を呼びかけた。12月から来年にかけて集計を進め、今年度末には結果を公表する予定。

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