ケアマネが注目したい診療報酬改定(1)~かかりつけ医機能とのかかわり~

2020年度には、診療報酬改定が行われます。具体的な改定率や中医協(中央社会保険医療協議会)の取りまとめはまだ先ですが、2018年度改定の結果検証などを通じて課題が少しずつ明らかになっています。介護現場、特にケアマネとして注目したい点について、不定期ながらシリーズで取り上げてみましょう。

診療報酬に注目することの重要性を再確認

改めて、介護現場から見た近年の診療報酬改定の影響を整理します。まずは病床再編によって入院医療から在宅復帰へのスピードが速まり、急性期から間もない状態で在宅での療養ニーズが高まっている点です。在宅復帰後の介護サービス提供において、必然的に対医療連携の密度が増してくることになります。

そのため、近年の介護報酬改定でも医療・看護等との協働を念頭においたしくみが急増しています。特に、退院支援の時点から深くかかわるケアマネの対医療等連携の実務が拡大していることはご存じのとおりです。

一方で、連携対象である医療側から見ても、対介護(対ケアマネ)連携を強化するしくみが、診療報酬内に続々誕生しています。退院時の居宅ケアマネとの情報連携などへの評価も、ますます拡充される傾向にあります。

そして、過去の診療報酬改定と介護報酬改定の動向を見ると、「診療報酬側でのしくみ」が先行し、その後に「介護報酬側のしくみ」が整合性に追われるという流れが目立っています。ケアマネ側の入院時情報連携加算の日数要件が、先行した医療側の入退院支援加算のスクリーニング日数に合わせる形となったことなどがあげられます。つまり、診療報酬の改定に注意することは、その後の介護報酬改定の行方を見極めるヒントとなるわけです。

かかりつけ医の機能強化が大きな課題に

こうした点を頭に入れたうえで、現在中医協で議論されているテーマから、ケアマネが特に注視したいポイントをあげてみましょう。代表的なのが、近年、厚労省が特に力を入れようとしているかかりつけ医機能の強化です。

ご存じのとおり、2016年度から「紹介状なしで大病院を受診する」場合に、患者からの定額徴収の責務が病院側に課せられました。2018年度からは、対象となる病院の範囲が広がっています。2020年度には、その範囲をさらに拡大する案が示されています。

こうした流れの中では、当然ながら「患者にとって入口となるかかりつけ医」の機能がますます重要になってきます。かかりつけ医の診療報酬上の評価としては地域包括診療料などがあげられますが、その要件について、患者がかかりつけ医に求める機能等を踏まえて見直す案が打ち出されています。

上記のような改革案が出てきた背景には、患者側と医療機関側で「かかりつけ医に求める機能」の認識に若干の差が見られるといった課題があります。たとえば、患者側がもっとも重視しているのは、「どんな病気でもまずは相談にのってくれる」ことであるのに対し、医療機関側がもっとも重視する機能は、「必要時に専門医、専門医療機関に紹介する」こと。また、患者側の重視するポイントの上位に「これまでの病歴や家族背景等を把握している」ことがあげられています。医療機関側もそれなりに重視してはいますが、患者側の優先度ほど高い位置にランキングされていません。

2021年度改定にどのような影響がおよぶ?

要するに、患者側としてはかかりつけ医に対し、「(専門医を紹介してもらうことも大切だが)まずはしっかり相談にのって、こちらのことを知ってくれる」という点を重視しているわけです。このニーズにかかりつけ医がどこまで応えられるかが、患者のセルフケア力を高めることにもつながるでしょう。

ここで、ケアマネとして頭に入れておきたいのはどんなことでしょうか。たとえば、患者ニーズを重視した診療報酬の改定が行われた場合、医師と患者の間の意思疎通や医師による患者の隠れた既往歴や生活歴の把握について、誘導するしくみが設けられる可能性があります。しかし、医師側の意識がそれに追いつかない、患者との意思疎通にかかる実務習慣が乏しいとなれば、もう一段何かしらのしかけがほどこされる可能性もあります。

たとえば、2021年度の介護報酬・基準改定で、ケアマネの「患者とかかりつけ医との間の橋渡し」機能を強化する動きが出てくるかもしれません。すでに、アセスメント情報やケアプラン、モニタリング情報等の共有を求める基準等は設けられていますが、このあたりの厳格化や患者の定期診察の機会等を利用した「かかりつけ医・利用者との新たな三者面談」などが定められる可能性もあります。

ケアマネとしては、まず診療報酬の動向に目を配りましょう。そして、いざ実務の増大が予想される場合、地域のかかりつけ医(それを取りまとめる地域医師会)が円滑な連携に協力してくれるかどうかを今から見定めておくことが必要です。

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