どうなる医療費の窓口負担 現行で高齢者は何割か? 引き上げの具体案は?

相対的に軽い負担で高度なサービスが受けられる日本の医療。急速な高齢化に伴って制度の見直しを迫られている。

政府・与党はこの秋から今後の改革をめぐる議論を本格的に開始した。厚生労働省も審議会を動かして有識者や関係者と協議を重ねている。

75歳以上、2022年から急増へ

焦点となっているのは高齢者の窓口負担のあり方だ。低所得者に配慮しつつ引き上げていくべきではないか、との声が各方面からあがっている。

背景には給付費の増大があるが、とりわけ重大視されているのが“2022年問題”だ。団塊の世代が75歳に到達し始めることにより、給付費がさらに加速度的に膨らんでいく未来を意味する。

厚労省の統計によると、2018年度の時点で医療費の総額はおよそ43.4兆円。75歳以上の医療費が約4割を占めており、この層の急増がもたらす社会的インパクトはかなり大きい。

このままでは国の財政が立ち行かなくなってしまう − 。そんな危機感を共有する人が少なくない。また、企業や現役世代、あるいは将来世代の負担が過重になると心配している人も多い。ここへきて速やかな改革の実現を目指す動きが顕在化してきた理由だ。

以前は70歳以上が1割

高齢者の医療費の窓口負担が現行どうなっているのか、ここで改めて整理する。介護と大きく異なるのは、年齢によって細かく区別されている点だ。

70歳未満は3割、70歳から74歳は2割、75歳以上は1割。年齢が上がるほど低くなっていく。ただし、現役並みに所得がある高齢者(課税所得145万円以上など)は70歳以上でも3割とされている。

70歳から74歳もつい最近までは1割だった。厚労省が見直しに着手したのは2014年度。新たに70歳を迎える高齢者から段階的に2割としていき、現在は皆2割へと変わっている。

このほか、医療保険にも介護保険の「高額介護サービス費」にあたる「高額療養費」がある。窓口負担が予め定められている上限額を超えた場合に、その超過分を後から払い戻す仕組みだ。患者の生活を追い込んでしまうことのないようにする救済制度で、上限額は個々の所得などに応じて決められる。

「受診抑制につながる」との批判も

現在、政府内で浮上しているのは75歳以上の窓口負担を以前の70歳から74歳と同様の手法で引き上げていく案。現行の原則1割から時間をかけて原則2割へ移行する構想だ。

給付費の膨張になんとか歯止めをかけたい財務省が今月1日、今後新たに75歳となる人から順に2割へ改めるべきと提言。70歳から74歳が既に2割となっているため、対象者の負担はそのまま変わらないと理解を求めている。既に75歳を超えている高齢者は引き続き1割のままでよいという。

もっとも、日本医師会や日本歯科医師会といった有力団体は「受診抑制につながる」などと強く抵抗している。このため与党内でも慎重論が根強い。財務省などとの水面下での政治的な攻防は、これから師走にかけて一段と激しくなっていくことになる。

政府は今後、介護保険の自己負担の引き上げなどを含めトータルで議論を深めていく方針。年内にも大枠の方向性を固めるべく調整を進めている。

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