要介護度を改善できたら報われる?インセンティブ交付金の評価指標を検討

9月27日の社会保障審議会介護保険部会では、介護保険における保険者機能の強化と交付金についての議論が行われた。論点のひとつとなったのは、2018年度の介護保険制度改正で導入された「保険者機能強化推進交付金(以下、インセンティブ交付金)」。2019年度も前年同様、予算200億円となっている。各都道府県の評価結果や交付額が示され、委員からは評価指標への意見や数字がひとり歩きすることへの懸念などがあがった。

賛否両論の“アウトカム指標”強化

2018年度の評価指標からの変更として、要介護状態の維持・改善の度合いを評価するアウトカム指標の配点が、20点から60点へと引き上げられた。これにより、アウトカム指標で高得点を取った市町村の多くが合計点の順位を上げ、前年度と比べ交付金が増額することとなった。

アウトカム指標の内容は、一定期間における要介護認定者の要介護認定の変化率を、要介護1・2と、要介護3~5とに分けて確認するというもの。主観的な判断に委ねられる指標も混在するなかで、客観的な数値として重視し、総得点(市町村692点)に対する割合をもっと上げるべき、という意見もあがった。

一方で、要介護度の改善を重視するあまり、ADLに偏重して、利用者にとって適切なサービスを提供できなくなるのではという懸念もあげられた。UAゼンセン日本介護クラフトユニオンの村上参考人からは、希望しない機能訓練を提供したことで、デイサービスに足が向かなくなってしまった利用者の事例が共有され、個々の利用者の心と体のバランスに配慮したケアプランが重要との意見があった。他に、QOLの向上についても評価に入れるべきではという提案もあった。要介護認定を担う市町村が、数字という結果のみを求めて要介護度の改善に取り組むことのないよう、苦言を呈する意見が目立った。

インセンティブ交付金の使い道

アウトカム指標については、現状の改善率だけでなく、良い状態でキープしているかどうかという指標も組み合わせるべき、という意見もあった。すでに高いレベルで取り組んでいる自治体に対して、さらなる改善率を求めるのはハードルが高い場合もある。

インセンティブ交付金がスタートする前から、要介護度の改善に応じて事業所に奨励金を支給するなど、自立支援・重度化防止に力をいれている自治体もある。例えば、東京都品川区では、利用者の要介護度が1段階改善すると、2万円の奨励金を支給している。神奈川県は、要介護度改善を含む評価項目をもとに20の介護事業所を表彰。1事業所につき100万円の奨励金を交付することで、「頑張れば報われる」という機運を高め、サービスの質の向上を目指している。

アウトカム指標をはじめ、インセンティブ交付金の評価指標については懸念点も多くあげられたが、より適切な指標で評価され、保険者機能が強化されれば、品川区や神奈川県の奨励金のように、介護事業所にとってプラスになる地域もある。来年度に向けて、評価指標の見直しは進む。議論の行方をチェックしておきたい。

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