10月からの消費増税後に必要な目配り

10月から、消費税が10%へと引き上げられます。それにともない、サービス事業所・施設の負担軽減のための介護報酬の引き上げも実施されます。一方、利用者側は介護サービス利用料のみならず、その他の日常生活費用の負担感が増すことになります。ケアマネとしてどのような点に目を配るべきでしょうか。

報酬改定等で想定される利用者からの質問

10月からの介護報酬改定では、消費増税にともなう基本報酬の改定のほか、特定処遇改善加算分の上乗せが新たな利用料に反映されます(その他の居宅系サービスの加算については、短期入所療養介護における緊急時治療管理費が7単位引き上げとなっています)。

また、区分支給限度額も引き上げられます。当然ながら、介護サービスで課税対象となる部分(例.利用者の選択により、通常の事業の実施地域以外の利用者への訪問系サービスの交通費、通所系サービスの送迎交通費など)も引き上げとなる可能性が高いでしょう。

このあたりについては、事業者ごとに利用者負担額の改定表などを配布して利用者に説明することが必要となります。また、不明点などをケアマネに質問してくる利用者もいると想定されるので、事業所としては「どのような質問が想定されるか」などをあらかじめ整理しておくことも欠かせないでしょう。

利用者世帯の水面下で高まるリスクに注意

問題となるのは、介護サービス以外でも利用者にはさまざまな消費負担が増えてくる点です。消費増税の当月には動きがなくても、1か月ほどたつと「生活費の切り詰めが必要」と考える利用者が出てくる可能性があります。

たとえば、介護サービスの利用自体を「止める」ことはないとしても、「訪問・通所回数を減らそうかと考えている」という申し出があるかもしれません。その時にケアマネとしてどう対応するか──このあたりも事業所として想定しておく必要があります。

いくら「背に腹は代えられない」とは言っても、当初のケアプランからサービス回数などを減らせば、本人の機能低下や家族の介護負担の増大などの影響が生じかねません。モニタリングに際して、現在利用しているサービスにより「どこまで目標達成や課題解決に近づいてきたか」を分かりやすく示すなど、できるだけ現状のサービス量を継続してもらえるような意識づけを図りたいものです。

一方、「介護サービスを現状維持とする」となると、生活上のどこかでしわ寄せが生じることも考えられます。たとえば、食費を切り詰めるとなれば、利用者の栄養状態の悪化が懸念されます。本人や家族の趣味活動などにかかる費用や交際費などが減らされるとなれば、本人の社会参加意欲の低下、家族のストレスの増大なども気になるところです。

こうした節減は、外から見えにくい部分で行なわれるゆえに、ケアマネとしても気づきにくかったりするものです。しかし、さまざまなリスクが水面下で蓄積されていくとなれば、「気づきにくい」では済まされません。モニタリングに際しては、上記のようなことを意識しながら直近の日常生活にかかるヒアリングに注意を払うことも求められます。

地域資源の動向にも注意を払うことが必要に

水面下で見えにくい」という点では、サービス提供事業者についても同様です。今回の消費増税への対応にかかる介護給付費分科会の議論では、各種事業者団体からのヒアリングなども行なわれました。その中で、以下のような訴えも出されています(一部抜粋)。

たとえば、「介護ロボットやセンサー等のICT活用が進むことにともない、購入費用が増加するとともに課税割合が大きくなる」、「委託費等課税費用の中には人材派遣にかかる費用が含まれているが、(人材不足とともに)この費用が年々上昇傾向にある」というものです。つまり、業界環境や国の施策にともなう運営環境の変化が激しくなる中で、事業者に与える消費増税の影響も以前より大きくなる可能性が高まっているわけです。

今後、国としてさまざまな「現場改革」を求める流れがますます強まると思われます。そうなった場合、仮に改革インセンティブのために加算等で対処するといっても、消費増税が足かせとなりかねません。特に小規模事業者などは大きな影響を被ることになります。

一見、運営が順調そうに見える事業者でも、水面下では経営リスクなどが高まっているのではないか──こうした地域資源の動向にも、ケアマネとして目を配る必要性がますます高まっています。当然ながら、国としても新たな施策を打ち出す前に、事業環境に与える影響を今まで以上に細かく精査しなければなりません。たとえば、介護事業経営実態調査のあり方なども、消費増税を境として考え直すべき時期に来ているのではないでしょうか。

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