2024年のケアマネ実務はどうなる?

2020年度厚労省予算の概算要求が出されました。ここを出発点に、政府内調整を経て正式に来年度予算案が編成されることになります。その概算要求内で、ケアマネにかかる「推進枠」として対前年度予算比で3倍以上の金額となっている項目があります。それが「ICTを活用した介護情報連携推進事業」です。

実質的には医療の「標準仕様」に合わせる?

上記の項目は、介護現場における生産性向上の推進の一環となっています。居宅介護支援事業所と介護サービス事業者との間でのICTを活用した情報連携──これを全国に推進することを目的としたものです。

そのために、クラウド等を活用した「標準仕様」の情報連携のモデル事業等を実施し、その費用対効果を測定するなどの実証実験を行なうというものです。さらに、医療機関と介護事業所がそれぞれ所有する情報の効果的な連携に向けた検討も行なうとしています。

ここで注意したいのは、「ケアマネとサービス担当者」の連携のみならず、「医療機関と介護事業者」の連携も視野に入っているという点です。ケアマネ実務という視点に立てば、入院時情報連携加算や退院・退所加算の要件となる情報連携、あるいは2018年度の基準改定で定められた「医療職との平時からの連携」にかかわる予算措置といえます。

つまり、対医療連携にICTを活用し、それを見込んだうえでの「標準仕様」に重点化していくことが想定されるわけです。

先行する医療側の情報連携のあり方に注意

ビジョンとしては、まだピンと来ない人も多いでしょう。注目しておきたいのは、ICT等を活用によるオンラインでの情報連携について、医療側が先行している点です。

たとえば、2020年度の診療報酬改定に向けた中医協の議論では、医療情報の標準化や地域医療情報連携ネットワークの構築などが論点として上がっています。入退院時の関係機関との連携についても、現行での「ICTの活用」の範囲がさらに広がっていくことも予想されます。つまり、ここで医療側のICTにかかる標準仕様が確立した場合、それをベースにケアマネ側の情報連携のモデル事業が実施され、その検証結果によって介護報酬・基準の改定がなされる可能性も高くなるわけです。

それが「いつ」なのかといえば、2020年度予算によってモデル事業等がスタートするとして、2021年度の介護報酬改定では「モデル事業」推進のための「ICT活用」にかかるインセンティブ付与(特定事業所加算にモデル事業参加を要件とした新区分を設けるなど)がまず考えられます。そのうえで、その次(2024年度)の基準改定などで標準化を図るということになるかもしれません。

現在、介護保険部会では「ケアマネジメントの標準化」に向けた検討が進み、在宅医療・介護連携推進事業においては、各地域でICTによる情報連携に向けたプラットフォームづくりに力が入れられています。今回の概算要求は、上記のような流れとも連動しつつ、医療側が求める「情報」のあり方が改革のベースとなっていく流れが強まるといえます。

利用者の尊厳保持の視点で「すり合わせ」を

上記のようなシステムに対応するとなった場合、問題は、地域の居宅介護支援事業所および介護サービス事業所が「医療の求める標準仕様」を格差なく進められるかどうかという点です。医療情報連携の仕様が標準化されるとするなら、当然ながら、医療法人が主体となる居宅介護支援・介護サービス事業所の方が環境的には有利となります。

ご存じのとおり、介護事業経営実態調査を見ても、特に居宅介護支援の収支差率は依然として全サービスの中でもっとも低い状況にあります。クラウド仕様によってシステム自体の構築は低コストで済むとしても、活用する「人(ケアマネ)」の側の「医療が求める情報処理」に向けた研修コストなどが膨らめば、医療法人以外の(特に小規模型・独立型)の居宅介護支援事業所などは「その流れに乗れない」といった懸念は高まるでしょう。

もう一つ重要なのは、医療側が重要と考える情報と、介護側が共有したいと考える情報の「すり合わせ」がうまく行くかどうかです。生活という視点で考えた場合、何より「利用者(患者)の尊厳をいかにサポートするか」という視点が欠かせません。もちろん、医療側にも倫理的な観点から「患者の尊厳にとって重要な情報は何か」を検証する文化はあるでしょう。しかし、それが介護側の「利用者の尊厳保持のために欠かせないもの」と具体的にマッチしていくのかには不安が残ります。

このあたりの「すり合わせ」について、医療主導ではなく、医療と介護が対等の関係で進めていくこと。情報の標準化を目指すうえでは、欠かせない過程と言えます。

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