どうなるケアマネの未来 協会が次の改定に向けて訴えていくこと


《 日本介護支援専門員協会 柴口会長 》

6月に開かれた総会で続投が決まった日本介護支援専門員協会の柴口里則会長。ケアマネジャーをめぐる環境が厳しさを増し、極めて重要な2021年度の制度改正・報酬改定を目前に控えている現在、どんな思いを抱いているのか。自ら「本当の勝負」と位置づける2期目の方針を尋ねた。(聞き手・編集:青木太志)

「組織としてまとまってきた」

 −− 日頃の協会運営で特に意識していることは?

先端でケアマネジメントを実践している人が夢を持って仕事に取り組めるようにすること―。それが協会の役割だと考えています。会長に初めて就任した際、全員野球でケアマネジャーのチームを強くするというポリシーを掲げました。それを具体化するマネジメントに徹してきましたが、この姿勢を今後もブレずに貫きたいと考えています。

 −− 思うような成果が出ましたか?

少しずつですが前進を続けています。会員数も3万人を超え、これまでで最も多くなりました。関係者の努力の賜物です。様々な危機感を共有している人が増えたこともあるでしょう。ここにきて組織としてかなりまとまってきたと感じています。確かに、まだまだ不十分なところが多いことも否定できません。できるだけ仲間を増やせるよう、粘り強く活動を続けていくつもりです。

「ケアマネの仕事の評価が不十分」


《 日本介護支援専門員協会 柴口会長 》

 −− 次の制度改正・報酬改定をめぐる議論が本格化します。何を訴えていきますか?

まずは居宅介護支援の今の基本報酬を絶対に下げさせない、ということです。これはなんとしても死守しなければいけません。あわせてケアマネの処遇改善です。これも非常に重要。近年の改定では介護職員が優先されてきましたが、ケアマネだって処遇改善が必要なのは明らかです。今度こそ強く訴えていこうと考えています。

 −− ケアマネを目指す人が大幅に減ってしまいました。

職種としての魅力をさらに高めないといけません。もちろん、介護職員のまま利用者を支えていくこと、あるいは介護職員に戻って役割を果たしていくことも良い道です。ただし、国として優秀なケアマネを確保していくという視点も大事でしょう。そこをしっかりしないと制度が壊れてしまいます。だからケアマネの処遇改善が必要なのだと言っています。

 −− 求められる仕事が増えてきて、疲弊しているケアマネが少なくないという指摘も増えました。

利用者からの様々な相談に応じたり、制度のことを詳しく説明したりと、ケアマネは地域で非常に多くの役割を担っています。中には報酬につながらない仕事もたくさんありますが、多くの人が責任感を持って取り組んでいるのが実情です。そこの部分の評価が不十分。しっかり報酬に反映すべきです。みんな必死に頑張っていますが、やはり限界が近づいているのではないでしょうか。ケアマネの処遇改善を訴えるなかで主張すべきポイントだと考えています。

 −− 地域共生社会や「介護離職ゼロ」の文脈で、ケアマネの役割を更に広げていこうという議論も出てきました。

いいチャンスですよね。専門職、あるいは職能団体というものは普通、自らの職域を広げようと努力します。求められる役割を積極的に引き受ければ、社会的な評価の向上や相応の対価の獲得につなげられるでしょう。ケアマネだけが縮こまっていてはいけません。例えば、仕事と介護の両立のサポートや「8050問題」への対応、障害者の支援など、我々が活躍できそうなシーンは多々あります。現実的にどういった関与が可能なのか、未来に向けて前向きに検討していくべきでしょう。もちろんケアマネの処遇改善とセットで。

「ケアマネを発展させられるのはケアマネだけ」


《 日本介護支援専門員協会 柴口会長 》

 −− 居宅のケアマネジメントでも自己負担を徴収する案について、ご意見を改めて教えて下さい。

以前から言っているように反対です。それは認められません。自立支援や公正・中立といった理念と逆行します。

 −− 財政の健全化に向けて給付費をなんとか抑制すべきという意見も根強いです。

確かに厳しい議論になるでしょう。我々も「なんでも反対」という立場ではないのですが…。ここから更に給付費を無理やり抑制してしまえば、介護保険は十分に機能しなくなると感じます。今よりずっと深刻な事態を招くのではないでしょうか。

 −− 制度の行方を左右する極めて重要な議論になります。

そうですね。我々自身が、自分たちでしっかりと考えなければいけません。これからのケアマネはどうあるべきなのか。協会は先端の人の問題意識を政策決定の場へ届ける手段です。職能団体としての存在感が大きくなればなるほど、実際に地域で頑張っている人の声を制度に反映させやすくなるでしょう。もちろん、ケアマネジメントの質の向上にも引き続き注力していきます。ケアマネを発展させられるのはケアマネだけ。1人1人が主体的に行動して力をつけることが何より重要だと考えています。

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