第7回 ケアマネとして成長していくということ

ケアマネジャーが、ケアマネジャーとして成長していく方法については、大別すると2つの方法があるだろうと考えます。1つはスーパービジョンを受けながら対人援助職者としての学びをしながら成長していくという方法。もう1つは失敗を重ねながら、どうしたら同じ失敗を繰り返さなくなるかを考えながら試行錯誤をして成長していく方法。本稿では後者の成長していく方法について論じてみたいと思います。

失敗は原因の解明が不可欠

大学を卒業し特別養護老人ホームの生活相談員として就職してから約35年の対人援助職者としての時間を振り返ると、失敗の連続です。それは初心者の頃でも今日でも大きな違いはありません。さすがに若いころにした失敗と同じような失敗をすることはかなり減ってきていますが、年を取ってきたことに起因する失敗(忘れる等)が目立つようになってきています。

さて、この「失敗」についてですが、その原因は様々なものがあります。無知、認識の誤りや不足、勘違い、すれ違い、連絡ミス…。

原因のない失敗というものは存在しません。必ず間違いにはそれを引き起こす原因があります。ですから失敗したとき、その失敗の原因を明らかにしておかないと同じ失敗を繰り返すことにつながっていきます。つまり「失敗を教訓にする」「同じ失敗を繰り返さない」というためには「失敗の原因の解明」が不可欠になるということです。

失敗の原因は2種類

失敗の原因を解明する際に気を付けておく必要があるのは、原因には「直接的な原因」と「間接的な原因」があるということです。例えば、伝達の間違いがあったとした時、伝達を怠った、忘れたという「直接的な原因」と、伝達を怠る、あるいは忘れるという状況と創り出した背景にあるような「間接的な原因」があるということです。直接的な原因だけに着目しその解消を図ったとしても、間接的な原因をそのままにしておいたのでは、失敗が繰り返される可能性が高いまま放置していることと同じになります。

ケアマネジャーのような対人援助職者の失敗は、必ず「人」を対象として、「人と人との関係性」の中で失敗が発生します。そしてその失敗によって最終的には利用者に迷惑をかけてしまう結果となります。

失敗は成長の糧

利用者に迷惑をかけてしまったことをお詫びしようとしても既に鬼籍に入られてしまっている利用者がほとんどです。お詫びしようにもお詫びのしようがありません。ですから私はいつも心の中で故人を偲びつつ、「◯◯さんにご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。◯◯さんに教えていただいたことを、今支援させていただいている利用者さんにお返しをさせていただいています。今の利用者さんたちに◯◯さんが味わったような迷惑をおかけしなくて済むようになりました。これも◯◯さんの教えのおかげです」とお話しさせていただくことにしています。

つまり自分が過去に失敗をして、その失敗を教訓として成長することができたということは、その失敗によって迷惑をかけてしまった利用者さんが、自分の身を挺して私に教えを授けようとしてくださっていたと考えるようにしています。だから私にとって過去関わってきた利用者さんの全てが私の師匠であり、今日の私を形作る要因となっていると考えています。

そして、「◯◯さんが味わったような不利益をもう誰にもそのようなことがないようにしていきますから見ていてくださいね」と祈りながら日々業務に邁進しています。

ケアマネジャーの成長は、勉強したりスーパービジョンを重ねていくことだけでなく、失敗を糧にして、失敗によりご迷惑をおかけした利用者さんへ報いていくという活動を心がけていくということもまた「成長する一つの方法論」であると考えています。

◆著者プロフィール 中村雅彦
1960年生まれ。主任介護支援専門員・社会福祉士。
日本社会事業大学を卒業後、特別養護老人 ホームの生活相談員を経て、介護保険制度施行と同時にケアマネジャーに。
独立居宅の管理者兼介護支援専門員として約15年務め、現在は北アルプス医療センター あづみ病院 居宅介護支援事業所に勤務。
前長野県介護支援専門員協会会長、日本介護支援専門員協会長野県支部代議員、介護支援専門員実務研修・専門研修講師、松本短期大学非常勤講師等を歴任。
日本介護支援専門員協会には幾度となく現場目線からの提言をしている。
優しい眼差しと熱い口調でケアマネの養成に勤めている。趣味はスポーツと読書。

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