=社保審・介護保険部会= 介護職員の更なる賃上げを求める声相次ぐ 深刻さを増す人手不足、どう対応?


《 社保審・介護保険部会 26日 》

2021年度の次の改革に向けた協議を進めている社会保障審議会・介護保険部会は26日、深刻さを極める人手不足への対応をテーマにディスカッションした。

厚生労働省は展開中の種々の施策を紹介したうえで、今後の論点として介護職員の処遇、労働条件、雇用管理、職場環境などを改善する効果的な施策のあり方を提示。介護報酬の新たな加算の創設が目前に迫っているが、委員からは早くも追加の賃上げを検討するよう求める声が相次いだ。

第79回社会保障審議会介護保険部会資料

部会は次回からいよいよ各論を主とする“第2ラウンド”へ移る。財政がさらに逼迫し、ニーズの急増と現役世代の急減が同時並行で進んでいく今後、介護保険はいったいどこへ行くのか? 政府の舵取りの方向性に大きな注目が集まっている。

厚労省「長く働けるようにする」

「残念ながら十分な成果は出ていない」「かなり厳しい状況にある」。この日、会場は重苦しい雰囲気に包まれた。

介護職員の有効求人倍率は過去最高レベルにある。全産業より2ポイント以上高い3.95倍(昨年度)。全ての都道府県で2倍を超えており、4倍超に至っているところも少なくない。最も高い愛知県は6.19倍(今年4月)。リーダー級の介護福祉士らの賃金を引き上げる「特定処遇改善加算」が10月から導入されるが、産業横断的な人材の獲得競争が一段と激しさを増しているなか、現状を打開するほどのインパクトをもたらすかどうかは不透明だ。

厚労省は今回の論点ペーパーで、「介護職員が離職することなく、長く働き続けられるようにすることが重要」との見解を示した。「それが介護職の魅力向上、新たな人材の確保にもつながる」としている。ロボットやセンサー、ICTの活用、介護助手の受け入れ、役割分担の推進などによる“現場革新”に注力していく構えもみせた。

「全産業平均に追いつく賃上げを」

多くの委員が指摘したのはさらに踏み込んだ施策の必要性だ。

認知症の人と家族の会の花俣ふみ代常任理事は、「現状は制度発足から社会保障の分野で働く人を手厚く保護してこなかった結果。介護職員をもっと大切にすべき。何よりもまず賃金の引き上げを」と主張。全国老人クラブ連合会の兼子久理事は、「根本の問題は賃金。全産業の平均(*)に追いつくような賃上げが必要」と訴えた。

* 産業計の36.6万円に対し介護職員は27.4万円。その差は9.2万円。

連合の伊藤彰久生活福祉局長も、「全産業の平均を1つのメルクマールとして、引き続き処遇改善に取り組むべき。事業所ごとに1人だけでは不十分」と述べた。また、全国老人福祉施設協議会の桝田和平経営委員長は、「今の介護報酬では限界がある。事業者が健全に経営できる水準にすべき。サービスの質を評価する加算も単価が低すぎる」と意見した。

このほか、「介護職は実態よりイメージが悪い」との認識に基づいて仕事のやりがいや魅力の発信を強めるよう求める声も多かった。また、事業所を大規模化・共同化してより効率的に運営すべきと注文する委員も少なくなかった。厚労省は引き続き有効な具体策を議論していく方針。

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