対看護連携はどう変わっていくか?

日本看護協会が厚労大臣あてに、2020年度予算・政策に関する要望書を提出しました。近年、「患者の生活の質を支える」という視点が重視される中で、看護師の活動範囲は多様化し、求められるスキルも高度化しています。今後の看護改革の流れの中で、介護職等との関係がどうなっていくのかを考えます。

看護協会の要望は、ケアマネにも大いに関係

2020年度予算に関する各省庁の概算要求については、今年も8月末の期限が想定されます。今後も、さまざまな職能団体から大臣あての要望が増えてくるでしょう。そうした中、今回の看護協会の要望に関しては、地域包括ケアシステムの構築や少子高齢化による医師の不足・偏在の解消といった国の課題を見すえたうえで、早期から協会側でレール敷きに力を入れてきた背景があります。

たとえば、今要望の軸となっている「ナース・プラクティショナー(仮称・以下NP)制度の創設」は、国側が医師不足対策の一つとして議論しているタスク・シフティング(医行為の一部の他職種委譲)の手段として取り入れられる可能性があります。見直しの流れが加速した場合、2020年度の診療報酬改定はもとより、21年度の介護報酬改定(介護現場の対医療連携の部分など)にも大きく影響することになるのは間違いないでしょう。

そうした流れを見すえれば、ケアマネや介護職としては、今回の看護協会の要望を「自分たちにも大いに関係する」という視点で見ていくことが必要です。具体的には、どのような場面で対看護師連携の機会が増え、そこに連携に影響する要素がどのように加わってくるのかという点を見極めたいものです。

訪問看護推進総合計画案に盛り込まれたこと

仮にNP制度が創設されたして、(その裁量範囲にもよりますが)少なくとも医師不足によって訪問診療などが受けにくい地域で、重い医療ニーズがある利用者の療養管理を看護師が一手に引き受けるという可能性は広がります。となれば、ケアマネなどの介護従事者は、利用者の診療にかかる情報を看護師から得る機会が増えることになります。

地域によっては「主治医とコンタクトをとることが難しい」というケアマネも多い中、「(たとえば)訪問看護師がNPを取得していれば、連携もしやすいし診療にかかる情報共有もスムーズに進む」と考えるかもしれません。一方で、「看護師主導によるケアマネジメントがさらに進み、居宅介護支援の業界図も変わりかねない」という可能性もあります。

この点で、今回の要望内のNP制度創設以外の部分で注目しておきたいのが、「訪問看護提供体制の推進」についてです。具体的には、地域における「訪問看護推進総合計画の策定と財源の確保」を求めていることです。

この総合計画に盛り込むべき内容として、訪問看護ステーションの大規模化(小規模事業所の統合・再編築)の推進、病院からの訪問看護の推進が盛り込まれています。小規模な介護事業所の統合・再編は、次の介護保険制度見直しで論点となる可能性がありますが、今回は訪問看護の職能団体が「国への要望」として出してきたことに重みがあります。

看護主導のケアマネジメントが急拡大?

たとえば、訪問看護ステーションの大規模化が進めば、機能強化型も増える中で居宅介護支援事業の併設も加速することになるでしょう。病院も「退院支援の強化」という流れの中で、独自に居宅介護支援に乗り出すケースが今後も増えてくることが考えられます。

つまり、訪問看護ステーションの大規模化や病院からの訪問看護提供を進めることは、そのまま「居宅介護支援の包含」という流れにもつながるわけです。そうなれば、重い療養を要する利用者のケアマネジメントが(NP制度によって医療への踏み込みも大きくなる)看護主導となる流れは加速していきます。

現状では、患者の退院支援の中で看護師がかかわる範囲もますます大きくなっています。退院カンファレンスでは、入院医療機関側から(医師の代わりとして)看護師が出席する範囲が広がり、地域包括ケア病棟の看護師などが退院後の訪問指導を手がけるケースも増えています。そこで大規模化されたステーションの訪問看護師と連携し、併設する居宅介護支援のケアマネが担当する──となれば、入退院から在宅介護までを一括した看護マネジメントの体制が生まれることになります。

そうした流れに「外部」のケアマネが加わり、対看護師連携を進めていくとなった場合、今まで以上に「看護師と協働する」という習慣を意識的に設けることが求められます。今付き合いがある訪問看護師とともに、これからの地域ケア体制がどうなっていくのかについて、積極的に意思疎通を図りたいものです。

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