現時点でのケアマネ改革論点を整理

2021年度の介護保険制度見直しの中で、ケアマネにかかる論点が数多く上がっています。介護保険部会での議論をはじめ、財務省の財政制度等審議会の建議、内閣府の規制推進会議の答申など、さまざまな方向からかなり思い切った改革案も見られます。点在している論点を、ここで改めて整理してみましょう。

プラン作成にかかる利用者負担導入など

最初に、介護保険部会で示された課題・論点からケアマネ改革の方向性を取り上げます。

1.ケアマネジメント手法の標準化

政府のニッポン一億総活躍プランにおける、自立支援・重度化防止の推進を目的とした施策の一環として、2016年度から取組みがスタートしています。内容としては、これまでのケアマネジメントの実績を分析・体系化したガイドラインの作成を目指し、ケアマネジメントの標準化を推進しようというものです。

2.保険外サービスのプランへの組み込み

厚労省から、ケアプランにおける「多様な保険外サービス」の取扱いが限定的であるという点が指摘されています。具体的には、単価制の生活支援サービス以外(財産管理や身元保証、住まいにかかる相談・手続きサービスなど)の取扱いが低調というものです。「そんなことまでケアマネが?」と思われるかも知れませんが、生活領域全般の支援を視野に入れた改革案が出てくる可能性もあります。

3.ケアプラン作成にかかる利用者負担導入

政府の骨太の方針2018の工程表にはじまり、財務省建議でも取り上げられている内容で、厚労省も検討の必要性を示しています。ケアマネジメントにかかる論点としては、もっとも大きなものでしょう。具体化される場合、それが1割負担にとどまるのかどうかも論点となります。他サービスの利用料が一律2割となった場合、利用者の負担感全体との兼ね合いも推し量る必要があります。

財務省が求める価格情報等への説明責任

4.ケアマネの業務負担軽減について

介護分野の業務負担対策として、文書量の軽減に向けた専門委員会が7月下旬にもスタートします。一方、ケアマネの業務負担全般に関して、介護保険部会で実態調査の結果が改めて示されました。負担が大きい業務の上位3つとして、「医療機関・主治医との連携調整」「指導・監査等に対応するための諸準備」「初回のケアプラン作成」が上がっています。トップの対医療連携については、医療・介護の一体的提供の強化が進む中、(2020年の診療報酬改定も含めた)医療側の協力体制をどう変えていくかが一つのカギとなりそうです。

以上は、介護保険部会でも論点として上がっているものですが、財務省や規制改革会議の側から上がっているものは以下の通りです。

5.価格情報等にかかる説明責任の強化

ケアプラン作成にあたり、利用者の求めによらずとも「複数の事業所のサービス内容と利用者負担(加減算等による差等)」についての説明を義務化することが、財務省側から提案されています。これは、事業者に介護報酬を下回る価格設定をうながすという意図も含まれたものです。財務省としては、この価格にかかる説明責任の違反に対して、運営基準減算の導入も求めています。

6.介護離職防止にかかるセミナー受講

規制改革推進会議で、介護離職ゼロに向けた対策の強化の一環として、ケアマネに対して「就労している家族の勤務実態を踏まえたケアプラン作成」のための情報提供や支援を行なうというものです。具体的には、介護離職防止にかかるセミナー開催やその受講を評価するしくみが提案されています。たとえば、特定事業所加算に、同セミナー受講を要件に加えるなどの施策が出てくるかもしれません。

利用者との「関係づくり」に大きな影響が!?

以上、現段階で出ている主だった改革案を示しました。大切なのは、これらをバラバラで見るのではなく、相互に関連づけながら国の施策の方向性を大きくとらえることです。

たとえば、もっとも大きな改革となりそうな「3」ですが、利用者側の納得を得ることが大きなハードルとなります。そのための下条件として、「1」でケアマネジメントの標準化を進めつつ、「5」でサービス価格情報もきちんと提供し、「2」や「6」で要介護世帯全体の広範な課題にも対応できるケアマネを育成していくという流れが見て取れます。

ただし、さじ加減を一つ間違えれば、ケアマネの業務負担は際限なく拡大しかねないリスクがあります。それは「量」的な負担もさることながら、(お金の話などが絡むことで)利用者との関係性が変わりかねないことによる新たなストレス増も含んだ話です。仮に「4」によって何らかの負担軽減策がとられたとしても、業務の質が変わりかねない中では、見通しは決して明るいとは言えないでしょう。

いずれにしても、今回示した6項目を頭に入れつつ、ケアマネの職責が大きく変わる可能性にも着目することが必要になりそうです。

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