2021年の介護保険を読み解く・入口編

2021年度の介護保険制度見直しに向け、社会保障審議会・介護保険部会の議論が進んでいます。本ニュース解説でも、議論の動向に合わせて、見直しの「先読み」を随時行なっていきたいと思います。まずは、制度そのものがますます複雑な「道のり」を歩むことが予想される中、つまづかないようにするための足場固めから始めていきましょう。

2021年度までのスケジュールはどうなる?

まず、予想される今後のスケジュールを確認します。前回の制度改正の流れをたどるなら、今年末には介護保険部会の議論の取りまとめが行われます。それをもとに、介護保険制度をめぐる改正法案が2020年初頭の通常国会に提出されると思われます。その時点で与党が多数を占める状況であるなら、5~6月には法案が成立する可能性が高くなります。

それをもとに、予算措置が必要な部分については、夏に出される2021年度予算の概算要求へと反映されます。ちょうどオリンピック開催の前あたりまでには、出揃うと思われます。その前(先の改正法案が成立するあたり)に、介護報酬・基準改定に向けた介護給付費分科会の議論がスタートすることになります。議論に際しては、改正された介護保険法と2020年度の診療報酬改定が見直しの骨格に反映されることになるでしょう。

過去の流れでいえば、給付費分科会の議論は2020年末から21年初旬に取りまとめが行われ、パブリックコメント募集や疑義解釈を経て、21年4月から施行されます。その直前の3月あたりには、毎年恒例となっている全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議が開かれて制度の周知が行われると思われます。

その先にある2024年度にも目を凝らすべき

ここで注意しておきたいのは、21年度の制度見直しや報酬・基準改定だけに目を奪われてはいけないという点です。国が目指す介護保険改革の大きな到達点は2025年──団塊世代が全員75歳以上になり、同時に65歳未満の世代が急減し始めるタイミングです。

つまり、劇的に介護保険のあり方が変わるのは、その直前の2024年度となるわけです。この時の改定は再び診療報酬とのダブル改定となり、医療との一体改革の中で「医療給付が介護給付に付け替えられる」という流れもさらに加速ことが予想されます。このタイミングは、地域医療構想による病床の機能分化が一定の完成をみることになり、介護と医療の一体化も大きく進むことになるでしょう。

また、「科学的裏付けに基づく介護」に向けてデータベースである「CHASE」の運用が2020年度から本格的にスタートしますが、そのデータ蓄積に基づく改定となると、やはり2024年度が想定されます。たとえば、CHASEから導き出された介護手法を導入することへの誘導策が一気に進むことも考えられます。具体的には、運営基準で定められたり、加算によるインセンティブが増えるなどです。

ケアマネが注意したい「共生・予防」具体化

この点を頭に入れたとき、2021年度の制度見直しや報酬・基準改定では、24年度の大改革に向けた布石がいくつも打たれるであろうという点に心づもりが必要でしょう。

たとえば、医療との一体的提供の強化を見すえたうえで、新たなサービス(居宅療養管理指導や訪問看護、医療外付け型の介護付き有料にかかる新バージョンなど)が誕生する可能性もあります。また、CHASEへのデータ収集の進ちょく具合にもよりますが、ADL維持等加算などアウトカム評価にかかる加算を他サービスにも広げ、データ収集への協力を行なった場合の加算区分を追加するなどです(リハビリ・マネジメント加算で、VISIT活用を要件としたIVに該当するものです)。

もしかしたら、現場にとって意図が不明確なサービスや基準改定、加算がいくつか登場するかもしれません。その時に、2024年度に何が起こるかを見すえる中で、その趣旨が明らかになるものもあるはずです。

さて、もう一つ気になるのは、先に発表された認知症施策推進大綱との関係です。注意したいのは、認知症施策がどうなるかということより、「共生」と「予防」が強く打ち出されている点にあります。過去のニュース解説でも述べましたが、介護保険という「共助」を、「共生=互助(あるいは民間サービス)」、「予防=自助」へと組み替えていくビジョンについて、耳ざわりのいい言葉に置き換えていると見れば分かりやすいでしょう。

2020年の法改正では、この「共生」と「予防」にかかる国民や事業者の義務を強化し、21年度改定では介護保険のしくみの中にも何らかの形で位置づけることも想定されます。ターゲットにされやすいのは、やはりケアマネジメントかもしれません。たとえば、ケアプランに「共生」と「予防」のビジョンを組み込むことを、何らかの形で誘導・義務化していくなどが考えられます。

以上のような構図をまず頭に入れつつ、これから制度の見直しに向けた議論を一つひとつひも解いていくことにしましょう。

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