有料ホーム孤独死ケース。防ぐには?

兵庫県明石市の有料老人ホーム(以下、有料ホーム)で、91歳の入居者が死後10日以上たってから発見されたというニュースが大きく報道されています。これを受けて、厚労省は5月31日付で、有料ホームにおける「適切な状況把握・安否確認の徹底」を求めた自治体向け通知を発出しました。こうしたケースを防ぐ有効な手立てはあるのでしょうか。

通知では動体センサー活用なども示されたが

厚労省の通知を改めて確認します。趣旨は、有料ホームにおける「安否確認等の実施」を求めたものですが、ポイントは「入居者が居住部分への訪問による安否確認等を希望しない場合」の対応が強調されている点です。

具体的には、(1)電話による確認、(2)居住部分内での入居者の動体を把握できる装置による確認、(3)食事サービスの提供時における確認などがあげられています。(2)については、居室内に動体センサーを設置し、一定時間「動体」が確認できない場合などにスタッフに通知されるなどのしくみが考えられます。

ただし、(2)の設置についても、入居者の許可を得る(居室仕様として、動体センサーなどを設置している旨を重要事項説明書などに記すことも含む)ことが必要でしょう。本人の納得が得られない場合、親族等(身元引受人含む)による代替え許可でOKとするのかといった課題もあります。今後、より踏み込んだガイドライン提示が求められる部分です。

「安否確認を希望しない」という人への対応

とはいえ、基本はやはり「人」による安否確認でしょう。少なくとも、対象者の動向を日々気にかけたうえで、個々の職員が気づいたこと(一定の日時に外出習慣があるのに姿を見かけないなど)をチームで蓄積・共有していくという業務ルールが確立していれば、早期の異変察知は不可能ではありません。また、「安否確認を希望しない」と入居者が表明しているケースでも、本人の意向を尊重しつつコミュニケーションを途絶えさせないノウハウの構築・教育もできるはずです。

ケアマネ業務に例えれば、以下のようなケースが頭に浮かぶのではないでしょうか。月1回のモニタリング訪問を行なったとき、玄関先で応対はするものの「中に入れてくれない」、あるいは「訪問のアポイントを入れても断られてしまう」などです。法令では、こうしたケースを「特別な事情」として、経過記録(5表)に記したうえで、訪問以外の手法によるモニタリングも一応は認めています。

ただし、忘れてならないのは、「訪問受入れの拒否」の背景に何があるのかという点です。もともと社交的だった人が、何らかの背景的要因によって「他者への不信感」を強めていったというケースもあります。その場合、本人の意思を尊重しつつも、背景的要因による不信感を緩和し、本来の「その人らしい社交性」を取り戻すことを図っていく──これもケアマネジメントの基本であり、介護保険外の有料ホームでも応用できる部分です。

介護保険外ホームでの対応には限界あり!?

もちろん、上記のような取組みはケアマネ単独でできるわけではなく、多職種多機関との連携によるチーム対応も必要となります。国としては、そうした(連携等にかかる)ケアマネ実務を制度面から支援し、さらなる報酬上の評価を図ることが欠かせません。

問題なのは、今回の孤独死のケースが、介護保険対象の入居者ではなかったという点です。そうなると、介護保険関連の法令によって、人員・運営基準が定められたり、報酬上の評価が行なわれるわけではありません。あくまで老人福祉法にもとづく有料ホーム設置運営標準指針(以下、標準指針)に沿って、自治体による立ち入り検査や業務改善命令での再発防止が図られることになります。

しかし、標準指針に示されている「安否確認または状況把握」については、具体的な方法は示されていません。あくまで「運営懇談会その他の機会を通じて、入居者の意向の確認、意見交換等を行ない、『できる限り』それを尊重したものとする」というだけです。当然ながら、「自立した人のための安否確認・状況把握」にかかる人員なども明示されておらず、入居者に公開すべき職員体制の情報も、「介護にかかわる職員体制」のみです。

こうして見ると、自立した人向けの有料ホームについて、国の規制や自治体の指導には限界があります。となれば、情報公開の項目を見直したうえで、入居者側のホーム選びにかかる周知・啓発を進めていくことが重要です。また、業界団体による現場マネジメントにかかる教育・助言なども拡充させ、今回のようなケースも想定したうえで見直していく必要もあるでしょう。(制度外の資源活用に力を入れる)政府の規制改革会議などでも論点としてもらいたいポイントの一つです。

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