自治体内での一体的な体制づくりが先決 2019年春スタートの2つの検討会について報告

厚生労働省は5月31日、「第21回社会保障審議会福祉部会」を開催。この春スタートした「地域共生社会に向けた包括的支援と多様な参加・協働の推進に関する検討会」と「社会福祉法人の事業展開等に関する検討会」の2つの検討会について報告があり、議論が行われた。

地域共生社会に向けたモデル事業

2017年の社会福祉法の改正により、市町村が包括的な支援体制づくりに努める旨(努力義務)が規定され、各自治体ではモデル事業を活用しながら、体制づくりを進めている。2020年を目途に、包括的な支援体制を全国的に整備するための方策を取りまとめるとしている。

5月にスタートした「地域共生社会に向けた包括的支援と多様な参加・協働の推進に関する検討会」では、包括的な支援体制を全国的に整備するための方策をメインに検討が進んでいる。

厚労省によると、200以上の自治体からモデル事業に対して手があがっているという。今回の社会保障審議会福祉部会では、モデル事業の取組例や課題のヒアリングについて共有された。

【取組例1 秋田県小坂町の相談支援事業】
地域包括支援センター(介護)をベースに、障害、母子保健、成人保健 の機能をまとめて、総合相談窓口を設置。住民の様々な相談にワンストップで対応する体制を整備した。町内の様々な場所に相談員を配置して相談を受け付け、総合相談窓口に集約して対応している。

【取組例2 三重県名張市の相談支援事業】
連携担当職員(エリアディレクター)を、地域包括支援センターなど地域の複数箇所に配置し、多機関協働の取組を進めることで、ネットワークの強化、地域の課題の解決能力を向上させている。

自治体職員からは、一体的な相談支援体制に対しての交付金の運用が難しい、という課題があがっている。介護、障害など各分野の交付金が縦割りのため、業務実績に応じて按分するという事務的な手間をかけなければ、会計検査を通過できないという。所管課をまたぐため情報共有もうまくいかず、事務作業はより煩雑になっている。まずは自治体内で、一体的に動ける体制づくりが必要そうだ。厚労省は交付金の合理的な使用方法含め、包括的な支援体制づくりの推進を応援していくとしている。

社会福祉法人の事業展開

4月にスタートした「社会福祉法人の事業展開等に関する検討会」についても報告された。この検討会では、複数の法人が連携・協業化することで、事業の効率性とサービスの質を高めることや、地域の公益的な取組に積極的に参画することを主なテーマとして検討を進めている。背景には人口減少、高齢化による社会構造の変化、地域ごとの福祉ニーズの多様化がある。

事業の効率性とサービスの質の向上については、連携・協働化することで下記のようなメリットがあるとしている。
・合同研修などによる人材の安定的な確保や資質向上
・必要資材の共同購入や事業の共同実施など、事業運営の効率化・安定化

地域の公益的な取組の促進については、地域共生社会の実現には社会福祉法人が重要な役割を果たすとし、下記のような取組が期待されている。
・居場所づくり、見守り、困窮者支援、災害福祉支援ネットワークなど、地域における公益的な取組
・地域共生社会の実現に向けて、住民参加の体制の構築や、地域の課題をまとめて受け止める場の提供
・人口減少地域での多様な福祉ニーズへの対応

地域共生社会に向けた包括的な支援体制づくりも、社会福祉法人の連携・協働化も、どちらも地域によって取組状況が異なります。全国的な整備に向けてどのような方策が検討されるのか、2019年春スタートの2つの検討会をチェックしておきましょう。

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