処遇状況等調査を読み解く(2)居宅ケアマネ処遇の深刻な実情

再び、2018年度の介護従事者処遇状況等調査の結果を取り上げます。前回は居宅系の2サービス(訪問・通所介護)、その中でも特に中小規模の事業所の処遇状況について取り上げました。今回は、居宅介護支援事業所のケアマネにかかる処遇はどうなっているのかについてスポットを当てたいと思います。

居宅介護支援における処遇状況を掘り起こす

調査では、「介護従事者の平均給与額等」のデータが示されていますが、これは「介護職員処遇改善加算(以下、処遇改善加算)を取得している事業所」に限られます。データ内ではケアマネの平均給与額なども見られるわけですが、上記で明らかなように、ここには居宅介護支援事業所は含まれていません。たとえば施設ケアマネのように、処遇改善加算を取得している施設・事業所に勤務しているケアマネ職に関するデータとなります。

これによれば、常勤・月給のケアマネの月あたり平均給与額(基本給+手当+一時金)は35万320円。2017年度と比較すると、7550円アップとなっています。これを、基本給額に絞ってみると21万7690円で、こちらは対前年度比で1960円となります。

もちろん、この数字をもって居宅介護支援事業所のケアマネの処遇状況を類推するのは難しいでしょう。そこで注目したいのが、居宅介護支援事業所も対象となっている調査項目です。具体的な給与額等は示されていませんが、居宅のケアマネの深刻な処遇状況が垣間見えるデータといえます。

「給与引き下げ」も視野に入る居宅介護支援

その調査項目は、「サービス種別の給与等の状況」を示したものです。ここでいう「給与等の状況」とは、2018年4月から9月の間において、事業所が従事者給与にどのように対応したかというものです。ここに居宅介護支援事業所の状況も示されています。

これによれば、「給与等を引き上げた」もしくは「1年以内に引き上げる予定」とする居宅介護支援事業所は58.4%。この数字をどう判断するかですが、特養ホームの90.5%、訪問介護の73.6%、通所介護の80.5%と比べると一段低い数字であることがわかります。

一方、「1年以内に引き上げる予定はなし」もしくは「引き下げた」という居宅介護支援事業所の割合は、33.8%にのぼります。特養ホーム7.7%、訪問介護22.8%、通所介護17.5%なので、今度は逆に一段高い数字となります。「引き下げた」という回答に限れば、他サービスがすべて1%未満なのに対し、居宅介護支援事業所だけ2.6%となっています。

処遇改善加算の有無にかかわらず、あらゆる介護人材不足が恒常化する中では、たとえ経営が厳しくなっても「引き上げ(少なくとも現状維持)」としなければならない状況は避けられないはず。にもかかわらず、居宅介護支援事業所だけ、「引き下げ」も視野に入れた回答が頭一つ抜けているのは深刻でしょう。

この数字を、月あたり利用者数が59人以下という中規模以下の事業所に絞ってみます。すると、「1年以内に引き上げる予定なし」+「引き下げた」の合計は44%に。約半数の事業所のケアマネが「給与が増えない」という状況に置かれているわけです。内訳を見ると「引き下げた」も4%にのぼります。また、経営主体別で見ると、営利法人の「引き下げた」という割合やはり4%となっています。

中規模以下の営利法人は人材確保難が極限に

さて、居宅介護支援の場合、介護事業経営実態調査(2017年度)でも明らかなように、収支差率は全サービスの中で依然として唯一マイナスです(しかも、全事業所のうち半分以上がマイナス)。また、収入に対する従事者の給与費の割合も最も高い84.1%となっています。つまり、経営状況の厳しい中で、やりくりをしながらケアマネの給与を上げていくことはすでに限界が生じているわけです。

その傾向が特に強いのは、今調査からも明らかなように「中規模以下の営利法人」です。当然ながら、こうした状況に該当する事業所はケアマネ確保が難しくなり、地域の比較的規模の大きい社会福祉法人や医療法人に人材が流れる傾向がますます高まることになります。考えられるのは、このまま「管理者=主任ケアマネ」の経過措置期間に変更がなければ、2021年度を境として地域の居宅介護支援事業所の大幅な再編が進むことです。

今回の処遇状況等調査では、処遇改善加算の効果(常勤・月給の介護職員の月平均給与が初めて30万円台に乗ったこと)に注目が集まっています。しかし、上記の経営実態調査と併せて見たとき、より大きなトピックとなるのが、居宅介護支援事業が直面している危機とケアマネジメント資源の地域偏在が進むという懸念ではないでしょうか。各種審議会でも優先的に議論すべき課題といえます。

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