第3回 関係諸機関との連携について

第6期介護保険事業計画が動き出し、今まで以上に関係諸機関と協働した支援を展開することが増えてきました。例えば、共生型サービスや地域包括支援センターとの協働研修会の開催、事例検討会の開催などが実践されていることと思います。特に、特定事業所加算を算定している居宅介護支援事業所では、地域包括支援センター等との合同研修や事例検討会の開催が義務付けられているし、地域ケア会議への協力や事例提供も求められてきているので、余計にそう感じるようになっているものと思います。
さて、このような「関係諸機関との連携」は、最近になってことさら求められるようになったものではないはずです。システムや名称の違いはあるけど、これまでも行政や包括、医療機関等々とは事あるごとに連絡を取り合い、相互に協力をしながら支援を展開してきたはずです。それがなぜ今日、今まで以上に「関係諸機関との連携」を求められてきているのかを私なりに考えてみたいと思います。

介護保険財政の視点

最初に考えてみるのが介護保険の財政に関して。ご承知のように、介護保険の財政はかなり厳しいものがあります。それを何とかしていくために被保険者枠を拡大して障害施策も介護保険の枠の中に飲み込みたいという動きがあります。その一歩目として共生型サービスが平成30年度から開始になっています。

共生型サービスの狙いとしては、「65歳」という年齢到達で介護保険制度の支援を優先して使う必要があるような利用者に対して、いかに円滑に年齢到達による制度の変更に伴う弊害をなくしていくかが重要な視点となり、そのためには年齢到達前から行政や障害サービスと介護保険サービスとが並行して利用していくことが必要となり、そのためには障害のサービス事業所(障害のサービス事業所や障害の相談支援者等)等との連携がより頻繁に、そして内容的により深く連携をしていかなければ、移行時やその直後の生活の変化へ対応が難しくなってしまいます。

また財政的にみたとき、総合事業でも介護保険制度では支援者となり得なかった機関や団体も支援者となれることもあって、ここでも連携先が広がっていますし、場合によっては専門職以外の担当者との連携という課題も生じてきています。

利用者状態の視点

続いて「利用者の置かれている状態の複雑化」という視点で見てみましょう。

利用者が単に介護を必要としているというだけではなく、老々介護や認々介護、独居、困窮等々一人の要介護高齢者が複数の生活上の問題を抱えているケースが非常に増えてきています。そうなると、支援も介護保険の枠内だけでなく、様々な社会資源を活用して支援を組み立ててもまだ足りないというような状況が当たり前のように発生してきます。

そうなると地域ケア会議や地域住民の協力など、連携先を拡大していかなければどうやっても必要な支援が組み立てられないことも出てきます。そしてこの状況は今後さらに拡大していくと想定されています。その中で必要な生活支援を実施していくためには、他機関との協働作業をしていかざるを得ない状況になっています。

連携のポイントとなるキーワーカーを探しておく

このように「関係諸機関との連携」は、ケアマネジメントの枠を拡大していくという発想が必要となっています。しかしそれは介護支援専門員が一人でするものではないはずです。介護支援専門員一人の力では限界があるし、だからこそ「誰と(どの機関と)」連絡を取り合い、連携をしていくのかということが重要になっていきます。

直接介護保険に関係しない機関と連携するなかで、「誰が(どの機関が)窓口となるか」という「キーワーカー」を探しておくこと、そのキーワーカーと日頃から連携をとっていくことが大切になります。私の地域ではこのキーワーカーの役割は地域包括支援センターが担ってくれています。包括支援センターを窓口として、行政や地域や障害のサービス提供者等へと結び付けをしてくれています。そしてありがたいことに、このキーワーカーとしての地域包括支援センターの機能は、担当者が交代しても機能を持ち続けてくれていますので、人事異動に伴うタイムラグも発生していません。これは本当にありがたいことです。

連携は"ギブ・アンド・テイク"

最後に、関係諸機関との連携を考える時、介護支援専門員と関係諸機関との関係性は"ギブ・アンド・テイク"だと思っています。いつももらいっぱなしではなく、時にはこちらも提供することができるように。そう思いながら、地域包括支援センターとは事例検討であったり、協働した研修であったり、相談であったり、困難事例の依頼を積極的に受けることなどを事業所としても使命としています。やはり「持ちつ持たれつ」という関係性が必要だと感じています。

◆著者プロフィール 中村雅彦
1960年生まれ。主任介護支援専門員・社会福祉士。
日本社会事業大学を卒業後、特別養護老人 ホームの生活相談員を経て、介護保険制度施行と同時にケアマネジャーに。
独立居宅の管理者兼介護支援専門員として約15年務め、現在は北アルプス医療センター あづみ病院 居宅介護支援事業所に勤務。
前長野県介護支援専門員協会会長、日本介護支援専門員協会長野県支部代議員、介護支援専門員実務研修・専門研修講師、松本短期大学非常勤講師等を歴任。
日本介護支援専門員協会には幾度となく現場目線からの提言をしている。
優しい眼差しと熱い口調でケアマネの養成に勤めている。趣味はスポーツと読書。

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