外国人材受入れ、色濃い現場不在

入管法改正により、この4月から外国人介護職の受入れに「特定技能1号」がプラスされました。受入れの見込み数は、5年間で最大6万人。08年度からのEPA(経済連携協定)での受入れが17年度までで累計約3500人ですから、その受入れ枠の大きさがわかります。

在留資格「介護」への各ルートを整理すると

まず確認しておきたいのは、外国人介護職の受入れについて、今回の「特定技能1号」にも関連するもう一つの見直しが予定されていることです。2017年9月からスタートしている在留資格「介護」にかかる見直しです。

在留資格「介護」は、EPAによる受入れ以外でも国家試験に合格して介護福祉士を取得することで登録できるしくみです。これにより、家族(配偶者・子)の帯同も可能で、在留期間更新の回数制限もありません。

ただし、この在留資格を得るには、外国人留学生として入国し、養成施設ルートによって介護福祉士国家試験を受けるケースに限られていました。これが、実務経験ルート(つまり、技能実習生等として入国して3年以上の実務経験を積んだ場合)でも、実務者研修を受けて介護福祉士の国家試験に合格すれば、在留資格「介護」を得ることを可能にするという法務省令の改正が予定されています。

この実務経験ルートによる在留資格「介護」の取得は、今回の「特定技能1号」でも同様です。この「特定技能1号」の場合、在留期間は通算で最大5年となってますが、在留資格「介護」への切り替えによって引き続き在留が可能なうえ、自身の家族と一緒に在留することもできることになります。

5年間の見込み人数6万人という数字の意味

さて、最新(2018年度)の介護福祉士国家試験におけるEPAによる受験者の合格率を見ると46%となっています。「特定技能1号」の受入れ見込み人数6万人から単純計算すれば、約2万8000人となります。現在、介護現場で働く介護福祉士が約82万人ですから、数字上は3~4%が外国人となるわけです。

もちろん、この数字は見込み人数からの試算です。介護分野への技能実習生の受入れで、実際に来日したのが、2017年11月からの1年間でわずか247人。3月から日本語要件が(入国後3年間の2号修了時までで)N4程度に緩和されましたが、それでも年間1000人に到達するかどうかは疑問符がつきます。

この状況を見ると、さらに日本語要件などのハードルが高い「特定技能1号」による来日者数がどうなるかといえば、国の予測を大幅に下回る(たとえば、受入れ見込みの1割以下というレベルとなる)可能性もあります。

そもそも国は、2020年代初頭までに利用者12万人分の介護基盤整備を進めるとしていて、それによって上乗せされる目標人材数を約5万人としています。この目標値も、先の5年間で最大6万人という「特定技能1号」による受入れ見込み数を算出する根拠の一つとなっていると思われます。国にとっては、単なる見込み以上の意味を持つわけです。

拙速「緩和」に流されない従事者保護法を

この数字が大幅に下回るとなれば、たとえば、「特定技能1号」による入国前の研修や日本語要件のハードルを下げるという方策も出てこないとは限りません。仮にそうなれば、国家試験合格が関門となる在留資格「介護」への移行が滞る可能性は高まり、現場の「早く戦力となって安定して働いてもらいたい」というニーズとのズレが大きくなってきます。

そこで問われるのは、法人側の見識です。在留資格「介護」の取得に向けた支援により多くの力を注ぐのか。それとも、「通算5年で帰国もやむなし」という前提で、「とにかく現場人材の頭数を確保する」という目先のビジョンに走るのか。後者となれば、現場のコミュニケーションは二の次となり、外国人の当事者も日本人の職員も、ともに疲弊しながらケアの質の低下を招くことは必至でしょう。

実際「技能実習生の日本語要件緩和」を求めた業界団体の声などを聞くと、決して杞憂とは思われません。国は「一定期間(おおむね半年をめどに)他の日本人職員とチームでケアにあたる」ことなどを求めつつ、その後は一人夜勤も可能とする意向を示しています。この要件が厳格に定められないと、業界団体の「さらなる緩和」を求める流れの中で、なし崩し的に職場風土の悪化が進みかねません。

やはり、外国人介護人材の受入れを進めるのであれば、(日本人従事者も含めた)介護従事者保護の法体系(省令ではなく国会制定法によるもの)をまず整えることが必要ではないでしょうか。省令や通知で研修機関や相談機関等の拡充をいくら図っても、根っことなる従事者保護がぜい弱では、政府の目標達成と業界意向のくみ取りが第一という「現場不在」の流れは止まりそうもありません。

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