救急時の心肺蘇生拒否の意思表示で実態調査 総務省消防庁

平成30年度 救急業務のあり方に関する検討会 報告書(3/26)《総務省消防庁》

今回のポイント
●消防庁の検討部会が行った実態調査によると、全国の消防本部の半数以上が2017年中に傷病者の家族らから本人の心肺蘇生拒否の意思を伝えられる事案に直面。17年以前にあったと答えた消防本部も3割近くに上ることがわかった。
○心肺蘇生拒否の意思表示を伝えられたときの対応方針をあらかじめ定めている本部は全体の45.6%。
○メディカルコントロール協議会にも調査を行い、心肺蘇生拒否の意思を伝達された場合のプロトコール(手順)策定の検討状況を聞いたが、都道府県MC協議会、地域MC協議会とも「一度も検討したことがない」との回答が最多となり、いずれも半数を超えた。

人口の高齢化で高齢者の救急需要が拡大する中、救急搬送時に家族から傷病者(患者)本人の心肺蘇生拒否の意思を伝えられた救急隊員が対応に苦慮する事態が発生し、問題となっている。消防庁の検討部会が行った実態調査によると、全国の消防本部の半数以上が2017年中にこうした事案に直面。17年以前にあったと答えた消防本部も3割近くに上ることがわかった。

救急業務のあり方に関する検討会の「傷病者の意思に沿った救急現場における心肺蘇生の実施に関する検討部会」が調査を行った。対象は、全国の消防本部(728)、都道府県メディカルコントロール(MC)協議会(47)、および地域MC協議会(251)で、回収率は100%(参照)(参照)。

消防本部調査の結果をみると、傷病者本人が心肺蘇生拒否の意思表示をしていたことを医師や家族らから伝えられた事案の有無で、最も多かったのは「17年中にあった」(55.4%)、次いで「17年中はなかったが、それ以前にはあった(と思われる)」(29.3%)。両者を合わせると8割以上の本部がこうした事案に遭遇しており、「17年中も、それ以前にもなかった(と思われる)」は15.0%にとどまった(参照)。

心肺蘇生拒否事案への対応方針を定めている本部は4割

心肺蘇生拒否の意思表示を伝えられたときの対応方針をあらかじめ定めている本部は全体の45.6%。対応方針の内容は、「心肺蘇生拒否の意思表示を伝えられても、心肺蘇生を実施しながら医療機関に搬送する」(60.5%)が過半数を占め、その理由では(複数回答)、「応急処置を行いながら医療機関に傷病者を搬送することが、救急隊の責務だから」(94.5%)、「法令上、心肺蘇生の不実施や、中止はできないと考えられるから」(88.6%)、「救急現場で傷病者本人の意思の確認を確実に行うことは難しいから」(77.6%)との回答が多かった(参照)。

17年中に発生した事案で、本人の心肺蘇生拒否の意思表示があったのに家族などが救急車を要請した理由では、▽気が動転した、パニックになった、どうしたらいいかわからなかった▽家族間の情報共有不足や意見の不一致▽施設が本人の意思を把握していなかった、施設のマニュアルで救急車を呼ぶことになっている(施設入所者の場合)-などがあがった(参照)。

一方、MC協議会を対象にした調査では、心肺蘇生拒否の意思を伝達された場合のプロトコール(手順)策定の検討状況を聞いたが、都道府県MC協議会、地域MC協議会とも「一度も検討したことがない」との回答が最多となり、いずれも半数を超えた(参照)。


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平成30年度 救急業務のあり方に関する検討会 報告書
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