ケアマネ業務実態調査を読み解く(3) 管理者要件の経過措置期限までの展望

2回にわたり、ケアマネ業務等実態調査から2021年度改定の行方を探ってきました。最後となる3回目は、特定事業所加算の状況と、ケアマネにとってもっとも気になる管理者要件の変更(管理者=主任ケアマネとする)が今後どうなっていくのかを考えます。

特定事業所加算の算定、改定後の状況は?

まずは特定事業所加算ですが、18年度改定において、I~IIIともに新要件が加わりました。具体的には、「他法人が運営する居宅介護支援事業者と共同の事例検討会・研究会等の実施」です。また、Iのみの要件だった「包括等が実施する事例検討会への参加」について、II、IIIも要件としてプラスされています。

こうした要件変更を受けて、I~IIIの算定状況はどうなったのでしょうか。18年10月時点(つまり9月以前も含む)の加算の届出状況は39.0%。そのうち10月時点で実際に算定している割合は、Iで5.4%、IIで53.8%、IIIで31.9%となっています。

このI~IIIを「届出していない事業所」も含めたうえでの割合に直すと、Iで約2%、IIで約21%、IIIで約12%となります。ちなみに改定前の18年5月審査分の算定状況では、Iで1.0%、IIで14.4%、IIIで10.5%。単純比較では算定割合は伸びています。

ただし、シリーズ冒頭で述べたように今調査は約4万の母集団に対して3%程度の調査に過ぎません。こうした調査に「協力できる」組織的余裕のある事業所が増える可能性を考えると、若干割り引く必要がありそうです。

主任ケアマネの受験ハードルは依然高い!?

さて、特定事業所加算の要件に追加された共同研修等の実施(包括等主催の事例検討会含む)についての課題を見ると、約半数の事業者が「業務多忙で研修のための時間を確保するのが難しい」としています。他の課題と比較すると突出度が際立っています。

この「業務多忙」という課題は、今回の管理者要件の変更と照らした場合、より深刻となります。業務多忙で研修時間が確保できないということは、主任ケアマネ研修の受講時間の確保も難しいという状況が浮かんできます。厚労省はe-ラーニングの活用を自治体に求めていますが、システム構築などにどれだけの時間を要するかは見通せません。

今調査に限っても、「管理者が主任ケアマネでない」という割合は4割を超えています。16年の調査と比較しても7%程度の減少にとどまります。問題は、経過措置期間が終了する21年度までの間で「駆け込み受講」が殺到する可能性です。それまでに受講費軽減やe-ラーニングなどの受講環境の大幅な改善が進まなければ、定員オーバーで受講できないという混乱も現実味を帯びることになります。

もう一つ気になるのは、主任ケアマネでない管理者の業務経験年数です。それによれば、6割が5年以上というベテランのケアマネです。管理者=主任ケアマネの要件による特定事業所加算が誕生したのが06年度(当時は区分は1つのみ)。それから13年が経過する中で、ケアマネ経験が長い管理者でも主任ケアマネを取得しきれていないというのは、受講ハードルの高さを物語るといえます。

経過措置期間を伸ばして減算導入の手法も?

仮に19年度から主任ケアマネの修了者数が毎年度倍増したとしても、1~2割程度は「管理者が主任ケアマネでない」という事業所が残る可能性があります。今調査よりも実態の数字が芳しくないという可能性や、大規模法人による主任ケアマネの囲い込みといった要素を加味すれば、もっと厳しい状況になることも十分想定されるでしょう。

そうした状況が現実味を帯びてきたとき、21年度に以下のような改定も予想されます。それは、経過措置をもう3年延長したうえで、「管理者=主任ケアマネ」の基準を満たしていない事業所の減算措置を導入することです。訪問介護のサ責の任用要件から初任者研修修了者を外して行った過程を準用するわけです。

しかし、サ責のように、「介護福祉士」という介護職のキャリア上で一定の地位を占める国家資格を取得すればOKという状況とはやや実情が異なります。「主任ケアマネを取得する」という動機はさまざまでしょうが、5年という有効期限がある中で継続的な更新を進めていくだけの強い動機づけが図れるのかという課題は残るでしょう。(ケアマネ個人の志の問題ではなく、あくまで施策上の問題です)

いずれにしても、今調査だけ見ても、21年度改定までに居宅介護支援事業所の人事戦略が大きく振り回されることは間違いありません。どこかでケアマネの未来像(職人ではなく生活者としてのビジョン)を、国や職能団体が明確に示せるか。それなくして、2年後の混乱は避けられないと思われてなりません。

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