ケアマネ業務実態調査を読み解く(1)ケアマネと医療の「評価」ギャップ

3月14日の介護給付費分科会で、2018年度の介護報酬・基準改定による効果検証等の調査結果(案)が示されました。その中から、居宅介護支援事業所とケアマネの業務等の実態に関するものを3回に分けて取り上げます。

ケアマネの業務実態調査と次期改定の方向性

報酬・基準改定にかかる効果検証等の調査結果については、21年度の報酬・基準改定の議論に大きな影響を与えます。確かに、調査結果が実態をどれだけ反映しているかという点については、懐疑的な人も多いかもしれません。たとえば、居宅介護支援事業所の調査票の有効回収数は1288件で、約4万という母集団の3%程度にしか過ぎないからです。

とはいえ、過去の報酬改定を見ても、同調査が方向性の土台となるのは間違いないでしょう。その意味で、実態を反映しているか否かはいったん横に置き、次の改定の方向性を予測する材料としてとらえる必要があります。

調査項目を分類すると、(1)基本情報、(2)対医療連携(入退院時・日常連携・末期がん)、(3)ケアマネジメントの質(特定事業所加算・管理者=主任ケアマネの基準改定)、(4)公正中立なケアマネジメントの確保などととなります。今回は、(2)の対医療連携のうちの「利用者の入退院」にかかる部分を取り上げます。

医療機関が入院時から重視する「退院後」

まず、入院時ですが、18年度改定で入院時情報連携加算の区分別要件が変わり、「情報提供のスピード」が問われることになりました。調査結果では、(ケアマネから医療機関への)情報提供のタイミングとして、加算Iの要件である「3日以内」が85%を超え、迅速な情報提供が実現している様子がうかがえます。

入院時の情報提供で(ケアマネが)「困難」と感じた点も、4割近くが「特になし」と答えています。一方、少数ですが以下のような「困難」点もあげています。「利用者が入院したことについてすぐに分からなかった」(9.7%)、「医療機関から情報提供を求められなかった」(7.5%)、「連携の窓口や担当者が分からなかった」(7.0%)という具合です。

このあたりは、対ケアマネ連携にかかる医療機関側の問題意識が問われる点といえます。20年度には一足早く診療報酬の改定が行われますが、ここで対ケアマネ連携や在宅医療・介護連携推進事業へのかかわりの強化などがほどこされるかどうか。ケアマネの負担軽減という視点でも問われるポイントの一つです。

なお、上記の「困難」点の中には、「医療機関がどのような情報を必要としているのかわかりにくかった」(6.7%)という回答もあります。これに関連して、医療機関側がケアマネの提供する情報が「役に立つか否か」を評価した設問があります。「役に立つ」という評価が圧倒的で、中でも「ADL」や「入院前の介護サービスの利用状況」、「(家族等の」介護力」に関する情報にかかる評価が目立ちます。

ただし、少数ながら「不足している」という負の評価も見られます。目立つのは、入院前の本人や家族の「生活に対する意向」や「在宅生活に必要な要件」にかかる情報です。医療機関としては、この時点で「本人や家族の意向に沿った退院(在宅復帰)の可能性」を強く視野に入れている様子がわかります。

在宅ケアマネジメントへの医療関与の強化も

その「退院時」についてですが、「ケアマネが医療機関に期待されている」と考えている役割と、実際に「医療機関がケアマネに期待している」役割を比較した項目があります。後者の割合が比較的高く、かつ前者とのギャップが大きいものを取り上げましょう。

それによれば、「本人・家族の在宅療養生活支援(通院・服薬の支援を含む)」や「退院後の在宅での生活や療養状況の情報の伝達」、「家族の介護負担軽減」などがあげられます。医療機関としては、ケアマネに対し「退院後の患者・家族支援」はもとより、医療機関への情報伝達」を継続的に求めているわけです。

一方で、ケアマネ側が「医療機関に期待されている」と考える役割で多いのは、「退院時カンファレンスへの参加」や「退院目標に合わせた迅速なサービス調整・ケアプラン作成」です。こうして見ると、医療機関側が「再入院に至るような重度化の防止」など「退院後」の役割を求めているのに対し、ケアマネ側は「スムーズな退院支援への協力」という「退院時」の役割を重視していることになります。

このあたりのギャップに医療主導の視点が入ってくると、「退院後の医療機関側からの指導や情報共有の求め」について、ケアマネ側に新たな対応が義務づけられる可能性も出てきます。つまり、在宅側のケアマネジメントに医療側の視点がさらに反映される流れがうかがえるわけです。こうした点に関連し、次回は対医療機関にかかる「日常連携」や「末期がん」ケースについて掘り下げましょう。

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