第2回 法令遵守の重要性について

法令が悪い、こんなルールは意味がない。介護保険制度の中では少なからず感じるし、自分でもそう発言してきた・していることも少なくありません。しかし、だからと言って法令やルールを守らなくてもよいというわけではありません。「悪法もまた法なり」といったのはギリシャの哲学者のソクラテスだという説がありますが、法治国家である以上、法は守ることは義務だも言えます。まさに法令遵守を突き詰めていくとここに辿り着いてしまうということでしょう。

”利用者に対する支援=税金の無駄遣い”になっていないか

もし仮に法令やルールが悪いのであれば、それを適切なものへと変えていく動きが必要です。それを「ソーシャル・アクション」と呼びます。ソーシャル・アクションは文字通り社会全体を動かす行動ですから、一人がいくら声高に叫んだところで、大多数がその意見に賛成できないものであればそれはアクションにはなりません。意見に賛同する大勢の「声(意見)」がルールを変える原動力となり得ることとなります。そして悪法による利用者の不利益という事実(感情論ではなく具体的な遺失利益としての事実)を積み重ねていくことが必要不可欠であるし、「最初の一歩」を踏み出す勇気も必要となるでしょう。

さて、話は少し変わりますが、皆さんは「税金の無駄遣い」に興味や関心はありますか?

私も仕事に従事し、税金を納めるようになって30年以上経過しますが、税金は「納めている」という感覚よりも「とられている」という感覚が強いですし、自分の周りに訊いても税金は「とられている」と表現する人が多いですね。その影響もあるのか、税金の使い道や無駄遣いにはかなり敏感になっていると言えるでしょう。

ご存知のように介護保険の財源の半分は税金で賄われています。しかもその税金は消費税で集めた税金も含まれていますから、国民全体が負担していると言えるでしょう。そうなると利用者に対する支援が税金の無駄遣いになっていないかという基準はとても大切な基準だということになります。

つまり、納税者、特に介護保険をよく理解していない納税者からみたとき、支援に使ったお金が「無駄なもの」とならないような支援をすることが重要だということにつながってきます。税金の無駄使いにならないようにするためには、少なくても最低基準として設定されている法令を間違いなく遵守することが納税者に対する最低限度の社会的責任だということです。

あいまいな表現やルールを具体策に落とし込み、実現する

ではルールでケアマネジメントに何が求められているのかと言えば「利用者の自立支援」であり「利用者の自己決定」です。このとき、ルールを守る責務を有している支援者は、「自立」とか「自立支援」とか「自己決定」というあいまいな表現でまとめられているルールについて、具体的に何をどうすることなのかを理解(それも独自の勝手な解釈ではなく、社会全体からコンセンサスが得られるだけの理解)して、それを具体的に実現していくこと(支援を受けた結果として自立ができたという事実)が必要だということになります。さらに言えば、その「実現」は、個人の感想ではなく、客観的に第三者から「実現できている」と検証できる形で実現していることが必要だ、ということです。

これは「机上の空論だ」「理想論だ」という「言い訳」は通用しないと考えるべきです。なぜならば法令上には「~しなければならない」という義務規定でルールが設定されています。「~するように努めるものとする」という努力義務ではありません。義務規定である以上、一部のエキスパートのような特殊な人だけができるものではなく、関わる誰もが実現でき得るものだという認識があるわけです。それを結果として「見せていく」ことが必要だということです。これも「納税者に対する社会的責任」ということができるのではないでしょうか。

法令遵守をこのような解釈から考えてみることも大切なことではないでしょうか。

◆著者プロフィール 中村雅彦
1960年生まれ。主任介護支援専門員・社会福祉士。
日本社会事業大学を卒業後、特別養護老人 ホームの生活相談員を経て、介護保険制度施行と同時にケアマネジャーに。
独立居宅の管理者兼介護支援専門員として約15年務め、現在は北アルプス医療センター あづみ病院 居宅介護支援事業所に勤務。
前長野県介護支援専門員協会会長、日本介護支援専門員協会長野県支部代議員、介護支援専門員実務研修・専門研修講師、松本短期大学非常勤講師等を歴任。
日本介護支援専門員協会には幾度となく現場目線からの提言をしている。
優しい眼差しと熱い口調でケアマネの養成に勤めている。趣味はスポーツと読書。

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