【まとめ】特養、どう変わる? 身体拘束の対策を強化 看取り体制を充実 褥瘡管理の評価も―2018年度 介護報酬改定

《 社保審・介護給付費分科会 13日 》
来年度から実施される施策の全容がいよいよ固まった。

次の介護報酬改定をテーマに会合を重ねてきた社会保障審議会・介護給付費分科会。13日にこれまでの議論を総括した審議報告をまとめた。何が盛り込まれているのか? 特養について改めてまとめた。

第156回社会保障審議会介護給付費分科会資料

変更は多岐にわたるが、影響が大きいのは「身体拘束廃止未実施減算」の拡大だ。現行では1日5単位のペナルティとされているが、「1日の報酬の○○%(例えば5%、10%など)」といった形に改めるとした。さらに要件も厳格化し、「対策会議を3ヵ月に1回以上の頻度で開催し、その結果を介護職員に周知する」などを必須とする方針を打ち出している。

高まる医療や看取りのニーズに対応していくための仕掛けも目玉の1つだ。複数名の配置医師がいること、あるいは配置医師と協力病院の医師が連携して24時間対応できる体制をとっていること――。「看取り介護加算」に新設される要件の1つだ。病状に関する情報や注意事項をタイムリーに共有する方法について、医師と前もって話し合い確認しておくことなども求めていき、これらを満たした施設を手厚く評価するという。「夜間職員配置加算」を見直し、夜勤の時間帯を通して看護職員を配置しているところの単価を引き上げる考えも示した。

サービスの質の向上を促すインセンティブも増やす。例えば排泄にかかる機能の改善や褥瘡の管理だ。新たなプロセス評価を導入し、多職種で計画を作って適切な支援を展開している施設などに高い対価を支払っていく。外部のリハ職と連携すれば機能訓練の加算を算定できるようにすることや、低栄養リスクの高い入所者への食事調整を評価していくことなども盛り込まれた。

介護ロボットの導入を後押しする施策は話題を呼んだ。第一弾は見守りセンサーとなった。安全面に配慮しつつ夜間に活用していれば、「夜勤職員配置加算」を取りやすくするという。サービスの効率化や現場の負担軽減に結びつけていく狙いがある。

特養で決まったこと(審議報告の要約)

入所者の医療ニーズへの対応

入所者の医療や看取りに関するニーズにより的確に対応できるよう、配置医師や他の医療機関との連携、夜間の職員配置や施設内での看取りに関する評価を充実する。具体的には以下の見直しを行う。

《 早朝・夜間・深夜における配置医師の診療に対する評価の創設 》

以下の要件を満たす場合において、配置医師が施設の求めに応じ、早朝・夜間・深夜に施設を訪問し、入所者の診療を行ったことを新たに評価する。

  1. 入所者に対する緊急時の注意事項や病状などについての情報共有の方法、曜日や時間帯ごとの医師との連絡方法や診察を依頼するタイミングなどについて、医師と施設の間で具体的な取り決めがなされていること。
  2. 複数名の配置医師を置いていること、もしくは配置医師と協力病院などの医師が連携し、施設の求めに応じて24時間対応できる体制を確保していること。
  3. 上記1. と2. の内容について届け出を行っていること。
  4. 「看護体制加算(II)」を算定していること。
  5. 早朝・夜間・深夜に施設を訪問し診療する必要があった理由を記録すること。

《 常勤医師配置加算の要件緩和 》

「常勤医師配置加算」の要件を緩和し、

  • 同一建物内でユニット型施設と従来型施設が併設され、一体的に運営されている場合であって、
  • 1名の医師により双方の施設で適切な健康管理や療養上の指導が実施されている場合には、

双方の施設で加算を算定できることとする。

《 病状の急変などへの対応方針の策定義務づけ 》

入所者の病状の急変などに備えるため、施設に対して、あらかじめ配置医師による対応、その他の方法による対応方針を定めなければならないことを義務づける。

《 夜間の医療処置への対応の強化 》

「夜勤職員配置加算」について、現行の要件に加えて、夜勤時間帯を通じて、

  • 看護職員、または認定特定行為業務従事者を配置していること

について、これをより評価することとする。

《 施設内での看取りの推進 》

施設内での看取りをさらに進める観点から、「看取り介護加算」の算定に当たって、

  1. 入所者に対する緊急時の注意事項や病状などについての情報共有の方法、曜日や時間帯ごとの医師との連絡方法や診察を依頼するタイミングなどについて、医師と施設の間で具体的な取り決めがなされていること。
  2. 複数名の配置医師を置いていること、もしくは配置医師と協力病院などの医師が連携し、施設の求めに応じて24時間対応できる体制を確保していること。
  3. 上記1. と2. の内容について届け出を行っていること。
  4. 「看護体制加算(II)」を算定していること。

の医療提供体制を整備し、さらに施設内で実際に看取った場合には、より手厚く評価する。

個別機能訓練加算の見直し

自立支援・重度化防止に資する介護を推進するため、外部のリハ職と連携する場合の評価を創設する。

具体的には、

  • 訪問・通所リハを実施している事業所、またはリハを実施している医療機関(原則200床未満)のPT、OT、ST、医師が特養を訪問し、特養の職員と協働でアセスメントを行い、個別機能訓練計画を作成すること。
  • 機能訓練指導員、看護職員、介護職員、生活相談員、その他の職種が協働して、その計画に基づき、計画的に機能訓練を実施すること。

を評価する。

機能訓練指導員の確保の促進

機能訓練指導員の確保を促進し、利用者の心身の機能の維持を促進する観点から、機能訓練指導員の対象資格(PT、OT、ST、看護職員、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師)に6ヵ月の実務経験を持つはり師・きゅう師を追加する。個別機能訓練加算における機能訓練指導員の要件についても、同様の対応を行う。

排泄に介護を要する利用者への支援に対する評価の創設

排泄に介護を要する入所者に対し、多職種が協働して支援計画を作成し、その計画に基づき支援した場合の新たな評価を設ける。

褥瘡の発生予防のための管理に対する評価

入所者の褥瘡発生を予防するため、褥瘡の発生と関連の強い項目について定期的な評価を実施し、その結果に基いて計画的に管理することに対し新たな評価を設ける。

外泊時に在宅サービスを利用したときの費用の取扱い

入所者に居宅における外泊を認め、その入所者が、特養により提供される在宅サービスを利用した場合は、1ヵ月に6日を限度として、所定単位数に代えて1日につき一定の単位数を算定できるようにする。ただし、外泊の初日・最終日は算定できないこととする。

障がい者の生活支援

障がい者を多く受け入れている地域密着型などの小規模な施設を評価するため、現行の「障害者生活支援体制加算」の要件を緩和する。具体的には、視覚、聴覚、もしくは言語機能に重度の障がいのある者、または重度の知的障がい者、もしくは精神障がい者の数が15人以上、あるいは入所者数の30%以上の施設を対象とする。

「障害者生活支援体制加算」について、以下の要件を満たすとより手厚く評価する。

  • 入所している障がい者の人数が総数の50%以上。
  • 専ら障害者生活支援員としての職務に従事する常勤の職員である者を2名以上配置している。

口腔衛生管理の充実

歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が、入所者に対して口腔ケアを行うことを評価する「口腔衛生管理加算」について、歯科衛生士が行う口腔ケアの対象者を拡大する観点から回数を緩和するとともに、口腔ケアについて介護職員への具体的な技術的助言・指導を行うことで口腔衛生管理の充実を図るため、以下の見直しを行う。

  • 歯科衛生士の口腔ケアの実施回数は現行の月4回以上を月2回以上に見直す。
  • 歯科衛生士が、その入所者の口腔ケアについて介護職員へ具体的な技術的助言・指導を行い、その入所者の口腔に関する相談などに必要に応じて対応することを要件に加える。

栄養マネジメント加算の要件緩和

「栄養マネジメント加算」の要件を緩和し、常勤の管理栄養士1名以上の配置に関する要件について、同一の敷地にある他の施設(1施設限定)との兼務でも算定できるようにする。

栄養改善の取り組みの推進

低栄養リスクの高い入所者に対して、多職種が協働して低栄養状態を改善するための計画を作成し、この計画に基いて定期的に食事の観察を行い、その入所者ごとの栄養状態、嗜好などを踏まえた栄養・食事調整を行うなど、低栄養リスクの改善に関する新たな評価を創設する。

入院先医療機関との間の栄養管理に関する連携

入所者が医療機関に入院し、経管栄養または嚥下調整食の新規導入など、施設に入所した時とは大きく異なる栄養管理が必要となった場合について、施設の管理栄養士がその医療機関の管理栄養士と連携して、再入所後の栄養管理に関する調整を行った場合の評価を創設する。

介護ロボットの活用の推進

夜勤業務の効率化などを図る観点から、見守り機器の導入により効果的に介護が提供できる場合について、「夜勤職員配置加算」の見直しを行うこととする。

身体的拘束等の適正化

「身体拘束廃止未実施減算」について、運営基準と減算幅を以下のとおり見直すこととする。

《 見直し後の基準 》

  • 身体拘束を行う場合には、その態様、時間、その際の入所者の心身の状況、緊急やむを得ない理由を記録すること。
  • 身体拘束などの適正化のための対策を検討する委員会を3ヵ月に1回以上開催するとともに、その結果について、介護職員などに周知徹底を図ること。
  • 身体拘束の適正化のための指針を整備すること。
  • 介護職員その他の従業者に対し、身体拘束などの適正化のための研修を定期的に実施すること。

《 見直し後の減算幅 》

5単位/日 → ○○%/日

運営推進会議の開催方法の緩和(地域密着特養のみ)

地域密着特養の運営推進会議の効率化や、事業所間のネットワーク形成の促進といった観点から、現在認められていない複数の事業所の合同開催について、以下の要件を満たす場合に認める。

  • 利用者と家族は匿名とするなど個人情報・プライバシーを保護すること。
  • 同一の日常生活圏域内に所在する事業所であること。
  • 合同して開催する回数が、年間に開催すべき運営推進会議の開催回数の半数を超えないこと。

小規模特養などの基本報酬の見直し

小規模特養、経過的地域密着特養、旧措置入所者の基本報酬について、報酬体系の簡素化や報酬の均衡を図る観点から、以下の見直しを行う。

《 小規模特養などの基本報酬の見直し 》

  1. 小規模特養(定員30名の施設)について、2018年度以降に新設される施設については、通常の特養と同様の報酬を算定することとする。
  2. 既存の小規模特養、経過的地域密着特養(2005年度以前に開設した定員26~29名の施設)と他の類型の特養の報酬の均衡を図る観点から、一定の経過措置の後、通常の特養の基本報酬に統合する。
  3. 上記1. 、2. に合わせ、既存の小規模特養や経過的地域密着特養の基本報酬について、一定の見直しを行う。

《 旧措置入所者の基本報酬の統合 》

旧措置入所者の基本報酬については、2018年度から、介護福祉施設などの基本報酬に統合する。

療養食加算の見直し

1日単位で評価を行っている現行の取扱いを改め、1日3食を限度として1食単位の評価とする。

居室とケア

ユニット型準個室について、その名称を「ユニット型居室」へ変更する。

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