定期巡回サービスに疑問の声相次ぐ 「机上の理論」「増やす必要があるのか」 社保審・介護給付費分科会

《 左:社保審・介護給付費分科会 12日 》
来年度の介護報酬改定に向けた議論をしている審議会の12日の会合――。「定期巡回・随時対応サービス」をどう増やしていくかが論点に据えられたが、出席した委員からは疑問の声が続出した。2012年度の創設からおよそ5年。普及が十分に進んでいない中で、その展開にこだわる厚生労働省へ冷たい目線が向けられている。

第138回社会保障審議会介護給付費分科会資料

「机上の理論の枠を出ていない」。こう厳しく批判したのは日本医師会の鈴木邦彦常任理事だ。「どう増やしていくかではなく、なぜ増えていないのかをきちっと検証するのが先」とただした。さらに、「併設する集合住宅の入居者を多く登録するビジネスモデルしか成り立たないのではないか。今のまま無理に増やそうとしても地域の問題は解決しない」と問題を提起し、いったん立ち止まって再考するよう促した。

正式な名称は「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」。電話などで要請を受ければ夜間も対応することや、医療ニーズを想定して看護を内包していることが大きな特徴だ。状態の重い高齢者でも在宅生活を続けられるように支援する訪問サービスで、地域包括ケアシステムの成否を左右する重要な仕組みとして生み出された経緯がある。ただこれまでのところ、当初の思惑通りに広がっているとは言い難い。厚労省によると、昨年4月の時点の事業所数は全国で633ヵ所のみ。利用者数は1万3,800人にとどまっている。

「既存の介護資源の有効活用を」

「あまりにも浸透していない。まずは本当にニーズがあるのか調べるべき。このサービスをどんどん増やすことが正しいのか?」。全国老人保健施設協会の東憲太郎会長はそう訴えた。「すでにある介護資源を有効に活用していく道を考えた方がいい。他のサービスの基準を緩和することなどにより、定期巡回・随時対応サービスの機能を代替していくことも検討すべき」と意見した。

もっとも、これから高齢者が急増する都市部などで大きな役割を果たし得るという期待も根強い。日本介護福祉士会の及川ゆりこ副会長は、「このサービスは柔軟性・汎用性が高く、うまく運営すればその圏域を施設のようにする機能を発揮できる」と説明。民間介護事業推進委員会の稲葉雅之代表委員も、「病院から退院した後や看取り期も支える有効なサービス。推進していくことが望ましい」と評価した。厚労省は普及を後押しする観点から、利用者のコールを受けるオペレーターの配置基準の弾力化などを検討していく方針だ。

一方で、利用者の立場を代表する委員は慎重な態度をとっている。認知症の人と家族の会の田部井康夫理事は、「簡潔で分かりやすい制度にしていくべきだと思う。どんどん複雑になっていくが、分かりにくい仕組みはやっぱり使われない」と主張。「訪問介護や通所介護といった基本のサービスが、必要に応じてより柔軟に動けるような形を作ればカバーできるのではないか。そういう方向も考えて欲しい」と求めた。

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