ケアマネドットコム > 記事トップ > 第4回 法律に反する事例(代筆編)

日付:2010/07/13  カテゴリ[喜ばれる支援行為が法律違反]  閲覧数[72807]

喜ばれる支援行為が法律違反

第4回 法律に反する事例(代筆編)

ケアマネジャーとして知っておきたい法律行為を掲載していきます。

法律に反する事例4

第三者が本人の代わりに、本人名を署名して、押印をした場合について事例を挙げて説明します。

【事例】
身体的な理由から契約書への署名ができない。
家族は遠方に住んでいるため代筆してもらうには時間がかかるので、代わりに署名・押印をして欲しいと依頼され、代筆を引受けた。

【注意点・留意点】
今回の事例は、誤解や問題を引き起しやすい行為であり、法律に抵触する可能性があるので特に注意しなければなりません。
  1. 家族がいる場合は家族に代筆(記名)・押印をしてもらう。
  2. 判断能力が低下し、代筆依頼が不明確な場合には引受けない。

○代筆の依頼を明確にする
依頼する者と依頼を受けた者の間で代筆することに意思の合意があれば、代筆依頼の書面がなくても行為は有効です。
しかし、依頼を「した」「しない」の問題が発生することも考えて、お互いに依頼の意思確認の書面を交わしておくことが大切です。
但し、今回のように署名できない状態であれば、依頼書をつくることが難しいと思われるので、依頼を引受ける場合には慎重な判断が必要です。
このような場合は、法定代理人(法律の規定による代理人:成年後見人など)として後見制度を利用し後見人として対応することも1つの手段となります。

○依頼が証明できない場合=勝手に代筆したとみなされる場合があります。
代筆の依頼を受けた証明ができなければ、許可なく無断で署名・押印したことと同じ扱いになります。
この場合は、代筆者と契約の相手方との間で契約が締結されたことになります。
何らかの損害が発生した場合には代筆者への責任が生じますので注意が必要です。
尚、契約の相手に代筆であることを伝えておくことも大切です。(※1)

署名はひらがなであっても、文字が大きく所定の署名欄からはみだしても判別できれば有効です。
契約が通常通り実行され、問題が発生した場合に備えておくことも大切です。


【身上監護協会:研究会】
身監協研究会では、進行性の病気に対する支援対応について意思の尊重を最優先に考え「日常生活の質」を維持させる日常生活支援事項(身上監護)についての研究をしています。 

○タイミング
進行性の病気により、意思表示が出来なくなる可能性があるとすれば本人の理解による事前対応策を選択し、その時に備えることがとても重要です。
ご本人の状態により対応方法が変わりますので早期であるほど選択幅が広がります。

身上監護契約の参考例
<本人の状態>
  1. 元気な時 → 身上監護委任契約
                         もしもの時に備える委任契約
  2. 病気が発症した時 → 身上監護委任契約または成年後見申立支援
                         病気の進行状況により判断
  3. 問題が最初に発生した時 →裁判所:(成年後見制度申立)
                         判断能力が不十分な状態 「補助・補佐」の申立支援
  4. 対処不能になった時 →裁判所:(成年後見制度申立) 
                         判断能力が欠如している状態 「後見」の申立支援

○家族・その他支援者
家族でも、本人の意志表示がなければ代理として出来ないことが多くなっています。
それは、個人情報保護の観点からと、犯罪の発生の抑止からになっています。

○対処
どのタイミングから支援の準備と支援を行うかにより対応策が変わります。
  a) 1. 元気な時から事前に準備しておく(選択肢が広がる)
  b) 2. 病気が発症したことを確認したら直ちに対応する(1ほどでもないが選択肢がある)
(※1)民法第99条 (代理行為の要件及び効果)
第1項 代理人がその権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずる。
第2項 前項の規定は、第三者が代理人に対してした意思表示について準用する。

【参考法令】(故意に行なった場合)
(※2)刑法第159条 (私文書偽造等)
第1項 行使の目的で、他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造した者は、三月以上五年以下の懲役に処する。
第2項 他人が押印し又は署名した権利、義務又は事実証明に関する文書又は図画を変造した者も、前項と同様とする。
第3項 前2項に規定するもののほか、権利、義務又は事実証明に関する文書又は図画を偽造し、又は変造した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

記事一覧
近藤章浩 [akihiro kondou]

1940年岡山県生まれ。
中央大学法学部卒業後、行政書士として法律業務に携わり、2001年、日本行政書士連合会理事就任、2003年~2005年の間日本行政書士連合会法務部長として法律等の解釈・適用・指導などの総括を行う。
2007年NPO法人身上監護協会企画「身上監護士」教材制作に携わり総監修を努める。

■ 学会
法と経済学会会員
■ 所属
特定非営利活動法人身上監護協会
■ 現職
近藤行政書士事務所 所長
特定非営利活動法人身上監護協会 顧問

NPO法人身上監護協会HP http://www.npo-mca.jp/

印刷する

この記事に関するコメントを見る、書く

オバサン度オジサン度チェック